川尻早人はどのような人物か?

 それでは、川尻早人はなぜ偶然を退けたのだろうか。彼は自分の父親である川尻浩作の異変*を感じてから、父親を調査し始める。彼は空気弾を発射する能力を持つ猫草を発見したことで成り代わりに気づき**、吉良吉影のスタンド能力を用いた男女二名の爆殺を目撃したことで吉良吉影に自分には無い特殊な能力***が備わっていることに気づく****。川尻早人は殺害の瞬間をとらえたビデオカメラを用いて自分と母親に手を出さないよう要求するが、殺されてしまう。しかし吉良吉影の第三の能力の開花により殺害は無かったことにされ、川尻早人は朝を繰り返すようになる。

 川尻早人はスタンド保持者ではないものの、彼は自分に備わっていない、自分には実体の見えないスタンド能力の存在を理解するようになる。またスタンド能力を信頼してもいる。吉良吉影との戦闘で瀕死の重傷を負った虹村億泰を東方仗助が自身のスタンド能力*****で治そうとした際には、吉良吉影が虹村億泰を爆弾に変化させていることを表情から見破り、東方仗助に忠告するとともに吉良吉影が一発ずつしか爆弾を撃てないと推理し、そして東方仗助のスタンド能力を当てにしたうえで自らが虹村億泰に触れ、東方仗助の死を阻止した******。彼は自分が能力者でないことを十分理解し、なおかつスタンド能力に勝てるのはスタンド能力に他ならないと考えてもいる。言い換えれば川尻早人はスタンド能力を絶対的に信頼しているのである。




*吉良吉影が成り代わったことによるもの。

**前掲『ジョジョの奇妙な冒険』9巻、307頁。

***吉良のスタンド能力のこと。

****前掲『ジョジョの奇妙な冒険』10巻、265頁。また同ページで川尻早人は吉良吉影を「人間じゃない」と表現している。

*****クレイジーダイヤモンドと呼ばれる。触れたものを修復・治療する能力。

******川尻早人は「期待してなきゃできない」と発言。前掲『ジョジョの奇妙な冒険』12巻、78頁。


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