『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない』について

 いわゆる「ジョジョ」作品の中で第四部にあたる「ダイヤモンドは砕けない」は、1999年のM県S市の杜王町を舞台とした物語である。主要な登場人物はスタンドと呼ばれる精神エネルギーを得ており、彼ら自身の精神性によって様々に異なる能力を使用する。今回は物語終盤の川尻早人と吉良吉影の対決に注目したい。

 スタンド能力を持たない小学生・川尻早人は自身の父親に成り代わったスタンド使いでもある殺人鬼・吉良吉影の第三の能力*により、同じ日の朝を繰り返し体験することとなる。彼は吉良吉影の能力によって、他者に吉良吉影について告白することを禁じられた。朝を繰り返すうちに川尻早人の起床(午前7時31分)、間違い電話(7時55分)、茶器の損壊(川尻早人が家を出る前)、スタンド使いである岸辺露伴の死(8時30分)、同じくスタンド使いである東方仗助・虹村億泰・広瀬康一・空条承太郎の死(8時36分)という「運命」**が蓄積されていき、川尻早人はこの「運命」を変えるべく奮闘する。奮闘は功を奏し、数度目***の朝で川尻早人は岸辺露伴の死の直前に東方仗助と虹村億泰へ吉良吉影を発見させ、吉良吉影の能力を解除させることに成功する。吉良吉影は主人公である東方仗助に追いつめられる。




*バイツァ・ダストと呼ばれる。また第一、第二の能力はそれぞれキラークイーン、シアーハートアタックと呼ばれる。キラークイーンは触れたものを爆弾に変える能力、シアーハートアタックは温度を認知し相手を自動追跡する爆弾である。

**この「事実」の蓄積とも言うべき現象を、作中では川尻早人・吉良吉影ともに「運命」と呼んでいる。

***吉良吉影は四回目と推測している。前掲『ジョジョの奇妙な冒険』12巻、6頁。


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