3-6

<長崎で対局することになりました。長崎に行くのは初めてです。飛行機が怖いのですが、どうやって行くのがいいでしょうか。


1.電車

2.フェリー

3.籠

4.ロバ 

その他ある人はリプライで>


 福田さんが、謎のアンケートをしている。まあ、ふざける余裕があるのはいいことだ。

 僕はと言うとそわそわしっぱなしだ。旅行というのをほとんどしたことがないうえに、今度は自分が対局者である。


<@fukuhana 飛行機、まだ怖いんだね。一緒に乗ってあげようか?>

<@nakagojos 遠慮しておきます>


 そんな中、一番楽しそうなのは中五条さんだった。ネット上でも積極的に妹弟子に絡んでいるが、今回志願して解説会の聞き手になったらしい。連盟としても、注目されている女流棋士なので是非に、という感じだったようだ。

「何が、何があるでしょう……」

 美鉾は腕を組んでうなっていた。

「どうした」

「これは、試されている気がします。その他の行き方……」

「ネタ将、すぐ大喜利始めるね」

 普通に電車だろう、と思ってしまう僕はまだまだのようだ。

 とそのとき、電話が鳴った。中五条さんからだった。

「はい、加島です」

「ねえ、見た!?」

「え、何を? あ、長崎に行く方法のやつですか?」

「刃菜子ちゃん、私のこと嫌ってるのかな!?」

「あー、えー、そんなことないと思いますよ?」

「電車なら一緒に行ってくれるってことかな? もしかしてロバが本命?」

「あの、落ち着いてください。これはネタですから……」

 ドラマでの役と違い、中五条さんには全くネット上の書き込みを見分ける能力がないようだった。

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