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科学捜査研究部の女 シーズン7
第6話「どれが本当? 将棋観戦者の謎!」
「まさか、あの梅田さんが隣の高校にいたなんて」
満面の笑みになる土間。それを冷めた目で見る木坂。
「ロングの黒髪。目は細め。身長165センチ付近。声は少し低い。梅田君の好みにぴったりだもんね」
「そんなに分析しないでよう」
「……とりあえず、話を聞いてみよ? 関係者の一人であることには間違いないんだから」
「あなたたちは大きな勘違いをしていますわ」
梅田は、大きなため息をついた。やれやれ、といった表情で首を振る。
「どういうこと?」
「たしかにネット上の情報を集めるのは、有益な方法ですわ。木坂さんの分析力、とても私より若いとは信じられないほどです」
「……どうも。それで、勘違いって?」
「言葉は、書かれたままを信じてはいけない、ということです。19時過ぎ、私は優勢でした。でも、私、終盤が苦手なんです。だから、よく逆転負けをする」
「それが何か関係が?」
「『風呂に入ってくる』と言っている人たちのほとんどは、お風呂になんか入っていないんですわ」
「入っていない? 入ってくると言っているのに?」
「それが、将棋を楽しむ者たちの習性ですから」
「わけがわからない」
「わかることばかりではつまらないでしょう? わからないから、将棋は楽しいんです」
「ありがとうございます! 梅田さんのおかげで事件解決です!」
飛び跳ねながら喜ぶ土間。それを冷めた目で見る木坂。
「私はちょっとお手伝いしただけですわ」
「そんなことない。あなたがどれが本当でどれがネタか分析してくれなかったら、私たち、絶対に真実にたどり着けなかった」
「『絶対』は、もっと大事な時にとっておいたらどうでしょう?」
梅田は、細い目をさらに細めてほほ笑んだ。
「あのっ、梅田さん。もしよかったらですけど……科学捜査研究部に入りませんか? 学校は違いますけど、全然問題ないですし、えっとその……」
「ごめんなさい。私もプロですから、ただでお手伝いすることになるのはまずいんですの」
「そう……ですか。いや、そうですよね。今回の謝礼も渡さなきゃいけないですよね……」
「でも、前例がないので相場がわかりませんわ。そうですね、きっと、一回50円ぐらいではないかしら。それでよければ、お伺いしますわ。絶対に」
「え? 本当ですか! やったー」
「まったく、子供みたいなはしゃぎ方なんだから」
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