第4話 依頼

 数分後、今度は知らない男の人からフレンド申請が来た。

 見てみると歩の彼氏の友達のようだ。

 歩彼氏のSNSを見ると、歩の女友達と結構フレンドになっていた。

 やっぱりフレンドリーな人なのだろう。

 けれど歩はどう思っているんだろう。

 陰でこそこそされるよりは、いいのだろうか。

 歩彼氏の友達からの申請も、承認ボタンを押した。

 そしてすぐさまメッセが送られてきた。

「承認ありがとう! 今度皆で飲みに行きましょう」友達も、フレンドリーなんだな。

 まぁ、社交辞令だろうと思い私は返信はしなかった。


    〇


 いつもと同じリズムの生活が続く。

 朝に起きて仕事に行き、夕方に帰宅する。新聞やニュースに一通り目を通し、SNSでの情報もチェックする。

 休日は掃除や洗濯をし、外出して本やファッションの新作をチェックする。


 今日は毎週見ているドラマの放送が無い日だ。

 いつもはドラマの放送時間に合わせて入浴を済ませていたのだが、今日は慌てなくてもいい。

 少し空き時間が出来たのでSNSを開いてみた。

 こんな風に空き時間がある時は、普段見ない写真を巡る。

 歩彼氏はイケメンだし、その友達も中々だったので、写真を見るのが少し愉しい。

 歩彼氏はよく飲み会をやっているようだった。

 男だけの写真もあれば男女混合写真もある。飲み会好きなのだろう。

 知らない女子とのツーショット写真を見つけた。

 角度からして、自撮り方式だろう。結構寄り添っている。

 あれ、これ歩はどう思っているんだろう。知っているのかな。


    〇


 暫くして、歩と会う機会があった。

 共通の友人が主催しているライブ企画に遊びに行った。

 ライブ終了後、歩にごはんに誘われた。


 ライブハウスから少し歩いた所に飲み屋街がある。

 飲み屋街に入る前の区域に、昔からの純喫茶が深夜まで営業をしているのだ。

 私と歩は、その純喫茶に入った。

 店内は薄暗く、テーブルは昔ながらのゲーム台になっている。


「京華、縁切屋の話に興味あったよね。私二回目の依頼をしたの」注文を済ませ、歩はいきなり云った。


 どうしたものかと事情を聞いた。

 歩は、やっぱりストーカー問題があったからSNSへ写真を載せるのは控えていたそうだ。

 ストーカー自体は消えたと云っても、歩が受けた傷はまだ癒えない。

 歩は自分で投稿しないので、SNS自体あまり見ていなかったそうだ。

 しかし先日、知らない女と彼氏のツーショット写真を見つけてしまったそうだ。

 あの写真だろうか……私は知らないふりをして話を聞いていた。

 

 怒った歩は彼氏に詰め寄った。

「大学時代のサークル仲間で飲んでいた時で、あの女は後輩。酔っててノリであの写真を撮った」そうだ。

 歩の怒りは収まらないが、そうゆうことならと渋々納得したそうだ。

 けれどもやっぱり落ち着かず、その後輩という女のSNSをチェックしたそうだ。

 そしたら歩の彼氏を映した写真が結構アップされていたらしい。

 この女は明らかに彼を狙っているだろうと思った歩は、縁切屋に依頼した。

「彼氏とこの女の縁を切って」と。


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