第19話
誰もいなかった背後から突然声がした。恐怖で後ろを振り向けない。
「もう一度聞きます。あなたは誰ですか?」
「先輩!土中さん!やばい今奇跡体験してる!女の子の声が神社で聞こえる!ヤバイこれ何?神隠し?それとも宇宙人系?誰か助けてくれー!」
「ふふふっ。やはりあなたにもその声が聞こえるようね。さすが我が同胞だわ。そしてその声は言う。今すぐ契約してさらにこのことを友達10人に伝えなければあなたは呪われます…と。」
「もう会長、雅ちゃん、悪ふざけが過ぎるよ。月山君案外ビビりだから、このままだとチビりになっちゃうよ。勘弁してあげて。」
「月山…あなたは月山なのですか!?そう、そうそうそう!ようやく現れたのですね!」
女の子の声は高揚し、ついに私の前に現れた。
「あなたが月山なのですね。私のこと、知っていますか?」
土中さんと同じ格好をした髪の長い少女が私の前に現れた。なぜだろう、私はこの少女に他の誰かとは違った印象を、というか既視感のようなものを感じた。
土中さんと同じ格好だったので、きっとそれが既視感の原因だろう。それかこの子の発言が、土中さんと会った時のものと似ていたからだろうか。
「紹介するわ、こちら金下雅さん。一言で言えばこの神社の巫女さんで、私の研究の超重要参考人ね。そしてこちら月山御影君、一言でいえば変態ね。」
前者も後者も正しく一言で言えてない。
「大丈夫です、ひがみんと一緒の時点でそこは分かっています。」
「ねえそれ琥珀のことも含まれてないかな、ないよね?」
「それでそれで、月山。私のこと知っていますか?」
いやまてよ、先輩は何も話してないのか。というかさっきのさりげなく不名誉な紹介をスルーしてたぞこの子。さすがは先輩の知り合いといったところだろうか。
「えっと、とりあえず私は月山御影です。ごめんなさい、あなたのことは何も知りません。」
土中さんに話したようなことをこの子にも繰り返した。
「そうですか、記憶喪失…。ちなみにその、事故に遭ってから何か昔のことを思い出したりしましたか?」
「いや特にそんなことは無いです。それであの、あなたは私にとってどういった関係の人だったのでしょうか?」
「うーん関係あると言ったら関係があるはずなのでしょうが、少なくとも私はあなたに今日初めて会いました。」
それはつまり、私のことを知らない他人だということだろうか。なのになぜ私のことを知っているかと2回も聞いてきたのだろうか。それは今日初めてあった人に質問するものなのだろうか。
「関係があると言ったらあるって、どうゆうことですか?」
「ふふっ。これはみやびん。あの話をしなければならないわね。」
先輩がなんだか上機嫌になっている。これは危険信号だ。
「あ、大丈夫です月山。ひがみんはあの話とか言ってかっこつけていますが、ただの真面目な昔の話ですから。」
金下さんがそういって場を仕切りなおす。先輩の扱いにはだいぶ慣れているようだ。
「これはこの神代神社に伝わる言い伝えのようなものなのですが。」
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