第16話

「それでどう、体験入部してみた感想は?入部届の早期入稿略してぐハ!」




私がひとこという前に、土中さんが物理的に突っ込んでくれた。




「とりあえずこの愛好会がまともというか、活動量的に見てまともなのは分かりました。そして私がこの愛好会にふさわしくないことも。」




「何を言っているの月山君、それはあなたの決めることじゃないわ。あなたが超能力者の自覚がないからといって、あなたが入会するにふさわしくない人間だと、私は思わないわ。」




「それはおかしいです先輩。だって先輩は、自分の研究が進展する可能性が、もっと言えば、先輩の求める心理が手に入る可能性があったから、私を入会させたかったんじゃないすか?」




「ふふふっ。もっとよく考えることね、私と土中さんのことも。そしてあなたのことも、あなたがあなたのことを知っていけばきっと、あなたが私と同じ理由もわかるはずよ。」




いったい今の話のどこに笑いどころがあったのだろう。




「ねえ、月山君。明日は校外学習に行こうよ!」


「何、その校外学習って?」


「おおついにこの時が来たのね、遠征よ。遠征。」




はあ遠征?校外学習?オカルト研究部っていうのは、365日年中無休で学校警備をしている団体、もしくは自宅警備員候補生の事ではなかったんだろうか。会員たち曰く、




「我ら超愛好会は、その魔道の研究課程に必要に応じ拠点を離れ、下界での魔道研究に奨励せよ!」


「つまり、学校外で研究活動しましょうってこと!要するにお出かけ、デートだよ、しかもダブルだぁ、両手に花とはこのことだね。」




とかなんとか言われた。あと土中さんってこういうノリする人だったっけ?




「まあとにかく、まだ体験入部期間は終了していないわ。明日も必ず、ここに来ること。いいわね?」


「こなかったら今日のこと、クラスのみんなに言っちゃうからねー。」




釘まで刺された以上、明日もここに来ざるを得ない。こうやって納得させられていることを、自分の中でひた隠しにしていく。


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