第8話

「……めよ、目覚めよ同胞よ、あなたは選ばれた。さあ今こそ我らと契約を交わすとき。」




 目覚めるとそこは異世界だった。先ほどの埃だらけの倉庫から、より黒々とした部屋の真ん中に座っていた。床には魔法陣のような何かが、書かれており、周りには本棚が並んでいた。100均で売ってそうな安っぽいクリスタルスカル、蛇、クモかなんかのおもちゃ…。そして目の前には美少女が座っていた。




「あなたは女神ですか、それとも悪魔ですか。」




「おお目覚めたか我が同胞よ。我は悪魔でもあり、女神にもなれるぞ。あなたを迎えに来たの。」




「ああそうですか美少女様。ではあなたが神たる存在か否か、その御業をもって証明していただきたい。」




「神を試すとは何たる不敬者か。まあさすがは我が見込んだ者。そのくらいの気概がなくては。では刮目せy。」




「いえ神よ、ここはひとつ私の願いをかなえていただけませぬか。この哀れな私に、あなた様のお召し物をいただけませんでしょうか。」




「お召し物、なんだその程度でよいのか。手間が省けてよいよい。そなたの願いをかなえてやろう。」


「ああありがとうございます神よ。じゃあパンツください。」




「はあ!?パン・ツー!?あのv k s、エプローンと並び三種の神器と詠われたパン・ツーを所望するだと!なんとおぞましい。だが実に挑戦的だ。面白い、面白いぞ同胞よ。」




「では神よ。早速お互いの3種の神器をかけてここはひとつ、腕相撲で勝負いたしましょう。」




「よいだろう。受けて立つ。」




 私は美少女様と手を組み、つかんだ手の指先で美少女の手の甲を嘗め回すように執拗に、美少女の顔があまりの恥ずかしさで悶え苦しむさまを堪能しながら押し倒した(腕)。


「それじゃパンツ取って帰ります。」今のは不正だと抗議する誘拐犯を恐ろしく速い手先で時にちらちらと、時にひらひらと、私たち紳士を惑わす誘惑の迷宮から秘宝を手に入れかけだした。




「ちょっと待って、帰らないで!悪かった、わるふざけが過ぎて悪かった!謝るから、謝るからパンツかえして!!」


「なにパンツ!パンツだと!?ついに秘宝を盗み出した勇者が現れたのか!!」




 美少女の悲鳴を聞きつけた勇者たちが、その秘宝の恩恵にあやかろうと、私のもとに集った。このうわさがきっかけとなり私はクラスの男子の、ひいてはこの学校の勇者たちの中で英雄となったのは言うまでもない。しかし私を取り巻く女性たちはみな悪魔に変わってしまったのも世の常である。


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