第7話 敗者の再戦

「私の名前は雨宮 朱莉なのです」


 「その名前…… 確か、 1年前にVRゲーム大会で私にクリティカル出されて

負けた子じゃない」


 「うるさいですよ。あれはたまたまです」


 「へえ〜」


 ニマァ〜として、怜奈は余裕のある顔をし、朱莉を見つめた。朱莉は顔を真っ赤にさせ、頬っぺたの右側をたこ焼き一つ分くらいに膨らませてた。


 「お前ら、知り合いなのか」


 「知り合いというか、ただの私に決勝戦で負けた敗北者よ」


 「負けてないです!! たまたまです!!」


 朱莉が先程よりも顔を膨らませて怜奈を睨む。


 「あの時のリベンジ!! ここで果たさせてもらいますです!!」


 あ……こいつ、馬鹿だな。今自分でリベンジって言ったぞ。一応、負けを認めてはいるんだな。


 「蠍の女王!! あそこで私と勝負です!!


 朱莉は近くにあるゲーミング喫茶を指差した。


 オンラインゲーミング喫茶ってのは最近、そこら中で出来始めた名の通り、ゲームをする為の喫茶店だ。最新型のPCやキーボード、マウスなどが使える場で、ヘッドギアも持ち込み可能だ。その為、いろんなゲーマーに出逢える事もあり

かなり人気になっているらしい。


 「いいわよ、ゲームのジャンルは何にするの?」


 相変わらず怜奈様は余裕の笑みをしていらっしゃるぞ。


 「学校の授業でも扱ってる、BRDで戦うです!! 負けたらポイント500貰うです!!」


 「それでいいわよ。早く行きましょ」


 「お、おい! 勝手にポイントを賭けるな!」


 俺の話も聞かず、怜奈と相手の少女はお互いの学生手帳に相手の

学生番号を入力して行く。


 「これでOKね。」


 「待て待て! 俺の話を聞けって!」


 「何よ。」


 眉を八の字にして怜奈は不満そうな顔をした。


 「ここで勝てば500ポイントも入るのよ?やるしかないでしょ!!」


 「確かにそうだが勝てるのか?」


 流石に一度は相手に勝ってるし、怜奈1人なら勝てる確率も高いハズだが

相手も怜奈と同じで、ゲームで決勝まで行ってる奴だ。


 「和樹、勝つから安心しなさい」


 「お前がそこまで自信あるなら任せるが、今回はただの戦いじゃないからな」


 「わかってるわよ」


 ***



 初めてゲーム喫茶に入店したものの、内装は普通にネット喫茶の様な所なんだが唯一、違うのはまだ受け付け場なのに既に色んなゲームの曲やBGMがそこら中から大音量で流れてくる。


 「これが最近のネット喫茶なんだな」


 「なに年寄り染みた事言ってんのよ。ホラ、対戦部屋が取れたわよ」


 怜奈達はいつの間にか部屋取りを済ませコントローラーが入った籠を

持っていた。


 「ほら、さっさと行くわよ!!」


 お互いに飲み物を持ってきて、カラオケ部屋の様な正方形の個室に入ると

そこには、1つずつ机と仕切りとPCが二台置かれていた。


 「確認するけど、ゲームはBRDで1v1のルールは、どちらが先に体力がゼロに

なるかで良いわね?」


 「それでいいです。負けた方はポイント500を渡すでいいです」


 「今回も直ぐにゲームオーバーにしてあげるわよ」


 2人ともヘッドギアを被り仮想世界に入って行く。俺も観戦する為に持って来ていたヘッドギアを被り、BRDの仮想世界へログインする。


 「和樹は今後の作戦の為にも私の動きを見てる事!」


 「わ、わかった」


 「早く始めましょうです」


 「随分、やる気みたいね、敗者ちゃん」


 「うるさいです。今度は確実に潰すです」


 めちゃくちゃ怖いオーラが2人から漂って行くのと同時に、お互いに装備を整え待機場に合流し、戦いのカウントが始まる。


 5…4……3…2…1。


 カウントダウンが終わると共に鉛の世界で戦いが始まった。


 


To be continued……。

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