第4話短髪の狙撃手

俺達の初めての戦いが始まった。


 「和樹!! ゲームが始まったら、真っ先にマップを開いて私と合流して!!」


 「わかった」


 俺は合流する為にメニュー欄からマップを開き、自分の位置と玲奈の位置を確認して

向かう。相手のチームに気をつけながら向かっていると、無線から怜奈の声が聞こえてくる。


 「和樹、気をつけて! 奴等は恐らくそこから2キロ地点に潜んでる筈よ」


 「おい、それってーーー」

 

 瞬間的だった。大きな音と共に

銃弾が地面に当たる。


 「外しました!!」


 横から声が聞こえた。


 「だからSVLK-14Sなんか持つなって言ったんだよ!!」


 「ごめんなさい!!だってこの子が可愛かったから!!」


 おいおい、SVLK-14Sなんか持って来てんのかよ。


 SVLK-14Sは4キロ以上先の相手にも届く代物で、このゲームで

入手するにもかなりのお金と手間と時間が掛かる。しかも撃った相手は地面に寝そべって1キロ先から俺を撃ってきていた。


 すると俺の無線から怜奈の声が聞こえてきた。


 「和樹、聞こえるわね? 奴等は恐らくそこから3キロ程の距離からあんたを狙ってきているわよ」


 「なんでわかるんだよ」


 「音がした方に双眼鏡を向けたら2人の姿を確認したわ!」


 お前…近くまで来てるなら援護してくれよ。と思った事は俺の胸に閉まって置くことにしよう。


 「わかった! 俺はこのままなんとかお前と合流できるように動く」


 俺は走りながら、目の前にあるボロい小屋に隠れる。


 「ここなら暫くは隠れられるだろ」

 

 ブーーン。


 この音はーー?!


 何かの乗り物の音が聞こえて来る。


 「あの男、軍用自動車でアンタの所に向かってるわ」


 マジかよ。


 「おい、お前! 仲間なんだから少しは援護してくれよ」


 「うるさいわね…… もう、的には捉えているわよ」


 「ただ、乗っているのが男のプレイヤー1人なのよ…もう一人がいないわ」


 嘘だろ……。


 「と、取り敢えず早く撃って助けてくれ!!」


 俺は必死に無線に向かって怜奈に訴える。


 「落ち着きなさい、今ここであんたを助けたら私の位置が特定されるし、もう一人が現状どこに潜んでるのかわからない以上、無闇に動けないわ」


 確かにその通りだ。現状、あのスナイパー女が何処にいるのか分からないんだ。

ここで怜奈が此方に向かって来ている車に撃てば恐らくは一発で位置が特定される……。


 って事は……。


 「俺一人でここを突破しなきゃいけないって事だよな……」


 メニューコマンドを開き、即座に自分のステータスと装備画面を出して現状のステータスを確認する。


 「俺が今装備してるのが、カツカツのお金

で課金して買ったハンドガンの

P365とフラッシュグレネードが2つ……」


 良かった。フラッシュグレネードがあるならまだ助かるかもしれん。


 一旦、深呼吸をして呼吸を整える。


 突然、後ろにいる相手プレイヤーが笑い始める。


 「おいおい、もうお前らは袋のネズミだぜ? ささっさと後参したのが

いいんじゃないか〜?特にてめーだよ下手くそ君!!がはははッ」


 男は大笑いしながら、俺が篭っている小屋の前で車を吹かしながら撃ちまくってくる。


 自分が隠れている小屋の耐久値を確認する為に自分の視界の左上に表示されている

赤い横線がみるみる減って来ている。


 この減り具合、相手は恐らくパワー系のスキルをガン積みで来てるな。


 「早く出て来て降参しろや!!!」


 男は怒鳴りながら無造作に撃ちまくる。


 奴の話を無視しつつ、思いついた案を

無線機能を使い、怜奈に説明すると、内容を理解した怜奈が俺に小声で確認して来た。


 「あんた一人でこの作戦が出来るの?」


 「ああ、多分な。だけどお前の協力も必要だ」


 「…… わかったわ。完全に運任せの作戦みたいだけど今の状況ならやる価値はあるわね」


 俺は装備項目からフラッシュグレネードと安定性を出したい為、P365を取り出す。


 「早く出てこないと建物の耐久値がなくなっちまうぜぇ〜?」


 相手はひたすらにAK-47を小屋に向けて撃ち続けるがーー


 ガチンッ


 弾切れを起こした。


そう、AK–47の装填弾数はせいぜい45〜60だ。それを撃ち切ればリロードタイムに入る……。マシンガン用のリロードスキルがあれば、AK47なら3秒でリロードが完了する。


 だが、奴は恐らくそのスキルは付けていない。その代わり、パワー系のスキルを

かなり付けているから、リロードにも約8秒は掛かる。


 「うおおおおお!!」


 俺は思い切り叫び、小屋の扉を開けて俺はフラッシュグレネードを相手目掛けて投げる。


 「なッフラッシューーー」


その瞬間、画面が一気に真っ白になり俺はそのまま真っ直ぐ相手に突っ込みP365を構えて突っ込む。


 「大野君、正面だよ!!」


 「クソッ! リロードが間に合わねぇ!!」


 「俺を馬鹿にして油断したのが穴だったなぁあああ!!」


 右手に装備しているP365で奴の頭を目掛けて、ゼロ距離ヘッドショットを取りに行く。


 「これで俺の勝ちだ!!」


 「なッーー」


 ガンッ


 大きな鉛の銃声が響いた。


To be continued……。

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