第16話 大河ドラマ館2 実次兄さんと天狗たち
シアターを出ると、今度は四三を支援した兄の実次(さねつぐ)と四三の妻 スヤさん。その義理母にあたる池部幾江さんたちの等身大パネルが展示されていた。
「あ、ここがツイッターで流れてきた場所かー」
と言うと朝美ちゃんはベストポジションを探してアングルを変え4枚ほど撮影していた。
全体写真と斜め、そして実次さんを中心とした写真とそのアップ。
笑っている実次さんを、弟の義理の母親が後ろからものすごい圧力で監視しているような写真なんだけど、この二人どういう関係なのだろうか?
(池辺幾江さんはドラマでは大庄屋で、金栗さんのオリンピック渡航費用を貸してくれた役です。結婚後ほとんど家に帰らない金栗四三に業をにやし熊本にいる兄に「さねつぐーっ!!!」と怒鳴り込み、そのたびに「すいまっせんっ!」と謝る様式美が絶妙でした。写真はその関係を再現したものです。みんな、わかってるなぁ。と朝美ちゃんが勝手に注釈を入れた)
左手には先ほどのシアターで使用された黄色いたすきがサイン入りで展示されていた。
後ろには菊池川に作られた、米俵を坂から船に転がす船着き場ロケ地のジオラマが展示されていた。
ここは写真OKらしい。
煙を上げるSLを背景に3つの坂から俵を落とす住人たち。江戸と長崎の混じったような風景だ。
案内のスタッフの方によると
「この中に金栗四三とスヤさんがいるんですよ」との事。
「ウォ○リーをさがせ!みたいだね」と言いながら朝美ちゃんは撮影がてら上下左右から(上からの撮影は私が代わりにした)見て「あ!この自転車に乗っている人と学生服の人ですか?」という。
見ればジオラマの中央、川辺に自転車に乗った人形がある。
「あ、すごい!大当たりです」意外と早く見つけたらしい。さすがファン。
この奥ではロケのセットをどうやって作ったかの解説ビデオとエキストラで参加した方のインタビューが流れていた。パズルみたいに必要資材を動かしてどんどんセットができている様子は圧巻だった。
その後ろでは、学生時代の制服と、自転車に着物姿で乗ったマネキンが展示されていた。
「あー…主演の方は36歳だったんだけど、ドラマだと15歳からスタートしたんだよねー。リアル15歳の学生さんに囲まれて大変だったらしいねー違和感が」
無理がないかい?その設定は。と思ったが坊主頭の金栗氏を見るとあまり違和感がない。
ちなみにこの展示コーナー、靴のマークが用意されており、そこに立つと自転車節という歌声が聞こえるという特殊スピーカーの体験ができた。30cm離れると聞こえないのだが指定ポイントに立つと歌が聞こえるのだ。
「うわー!すごいよこれ!本当にここだけでしか聞こえないよ!」
立ったり座ったり、飛んでみたり。怪しい誤動作を繰り返す友人を引きずり出す。
やめなさい、恥ずかしいから。
これらの「ふるさと・玉名」のコーナーを抜けると左手に女子スポーツの先駆者。として登場した女性の衣装や、金栗足袋と呼ばれたスポーツ靴の発展が見れる展示があった。ここは残念ながら撮影禁止らしい。
そして、その反対には
「弥彦ぼっちゃまと天狗倶楽部だ!」
髭をたくわえたダンディな男性の等身大パネルと、なぜか上半身裸で「TE・N・GU~!」と奇妙なダンスを砂浜で踊る不思議な男性たちの画像が右のテレビで流れていた。
朝美ちゃん。何なのこれ?
「TNG、天狗倶楽部だね」
うん。さっぱりわからん。
スタッフの人が「よかったら」とTNGと書かれたうちわを持ってきた。
何が「よかったら」なのだろうか?
と思ったら「うわ~!いいんですか!ありがとうございます」と感謝して、うちわを持ちながら立て看板の前に陣取る。
そして放映中の映像とともに踊る。
何これ?怪しい宗教か何か?
三島弥彦氏は財閥の息子らしく、スポーツ万能の好青年、いや『痛快男児』だったらしい。 オリンピックの選手選考会で審判として参加したけど飛び入りで参加する事になって100m、400m、800m走りで一位を独占。200mだけ2位だったそうだが、それだけ走ればペースも落ちるだろう。
正妻とは別の女性との間に生まれた息子なのだが、その間の葛藤をドラマでは実に感動的に表していたらしい。史実だと自分の子のように分け隔てなく育てたとあるがドラマ的にはこちらの方で面白かったと朝美ちゃんはいう。
「お金持ちなんだけどすごくいい人でねー。母親が見送りに来てくれた時は素直に泣くし、オリンピックの短距離走で外国人に歯が立たなかった時も全力出して、それでも負けたのを格好よく認めるし、同じ出場選手の金栗さんとの友情もスタイリッシュで見てて気持ちよかったんだー」
と朝美ちゃんが語る。
「敗北を知りたい」と豪語するほど身体能力に優れた青年が全力を出して負けを認めたシーンは、まるで青春物語の1Pだったそうだ。
「あと、ストックホルムの湖で金栗さんと全裸で水浴びするシーンはよかったねー」
おい、放映して大丈夫だったのか?そのシーン。
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いだてんの前半は『(男性の)裸のシーンがない回は存在しない』というほど男性の裸体が登場するドラマでした。
「なぜ脱ぐ」「これは大丈夫なのか」と心配される意見が多かったそうですが、生家での水浴びシーンは本当に全裸で撮影したらしく、映像の出来よりなにより「映ってはいけないものが映ってないか」でOKが出た。と熊本のトークツアーでご本人が語ってました。(笑
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