血液色の飴玉
飴玉を噛み砕いた。
確かな歯ごたえとともに口の中で飴玉が砕ける。
砕けた音を聞いて、隣の女が小さく体を震わせた。
ビビリめ、そう思ったが口にはしない。
そういえば、噛み砕いた飴は毒々しい赤色をしていたことを思い出す。
イチゴ味だ、あまりにも毒々しい色合いをしていた。
血の色に似ていたから惹かれて買ったと言って彼女の顔を引きつらせて遊んでいたのは少し前のことだった。
この女は本当に可愛いらしい、ちょっとしたことで怯えて、ちょっとしたことですぐに涙を流す。
あまりものを言わないのも良い、世間一般の女はギャーギャーと五月蝿すぎる。
この世で一番かわいいのはこの女。
異論は認めるが、その価値観を押し付けてくる面倒な奴がいたら黙らせるだけ。
おまえは可愛いな、と耳元で囁くと女は顔を赤らめさせた後ブンブンと顔を横に振った。
その様子も可愛かったので、腕の中に閉じ込めた。
暖かくて柔らかい。
思わず首筋に噛み付いた、噛み跡だらけのそこに歯を立てて思い切り。
ひっ、と上がった悲鳴に、自分の口が裂けそうなほど歪んだ事を理解した。
薄く血が滲んだ傷口をわざと音を立てて啜る。
あ、あ、ぁ。と恐怖と痛みが混ぜこぜになった声と、飴と血の鉄臭さが混ざった味に気が狂いそうになるほどの快楽を感じた。
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