第5話

 侍の行方を探り、隣村が襲われているのがわかった。

 すでに火の手はかなり広がっていたがまだいける。

 侍を背後から斬りつけ押し倒し、侍の懐にしまっているものを取り出す。

 簪はこいつじゃない…か。

 数の理ならばこちらもそうするしかない。

 閃光を放ち、光の狐を走らせる。

 光に惹かれその隙を討つ。

 簪をやっと見つけ手に取ったところで瓦礫の下敷きになっている男を見つけた。

 これもついでだと思い瓦礫の隙間に手を差し入れる。

「あ、あんたは…?」

 簪を光の狐に持たせて先に行かせる。

 俺が誰だろうとどうでもいいはずだ。

 瓦礫を持ち上げると這い出てきた。

「もしや、お稲荷様?これ、簪の、」

 全てを聞かぬうちに稲荷をつまみ上げ次々と口に放り込んだ。

 悪くない味だ。

「簪は届けたぞ。あとはお前が村に戻るだけだ。」

 きっと、あの幼い子の親だろう。

 そう言ってやると頭を下げたあとに走っていった。

 お稲荷様というのは見返りを求めるものだが、稲荷で叶える願いにも限度がある。

 しかも、忍だというのに。


「それ、才造と一緒なんだけど。何してんのあんたら。」

 面白がって笑われる。

 成る程、才造もしたのか。

「あぁ、そうだ。稲荷寿司。」

「飽きてないってのがまた。」

 さらに笑われ、それでも稲荷寿司は作ってくれることにはなった。

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