第4話

 光の狐さんが歩いているのが見えて、お稲荷様の狐さんだって思った。

 追いかけるとやっぱりお稲荷様がいた。

 それで必死にお願いすると、溜め息をついた。

 それでも稲荷をつまみ上げて口に放り込む。

 あと四つ。

 そしたら、簪が戻ってくる。

 村に帰ると火は消えていた。

「お母さん!お願い!稲荷、四つ!お母さんの簪、とってきてくれるんだって!」

「まぁ、ほんとう?急いで隣村に行かなくちゃ!」

「俺が行こう。待っていてくれ。」

 お父さんが走っていく。

 嘘じゃない。

 夢じゃない。

 お母さんとお稲荷様を待っていると光の狐が壊れた家の上に座った。

「あ!お稲荷様の狐さんだよ!」

「あぁ、どうしましょう…まだ帰ってきていないわ。」

 お父さんが、まだだ。

 光の狐が簪を持っているのに、稲荷がないと返してくれない。

 でも、ちゃんと待っててくれてる。

 お父さん!

 やっとお父さんが帰ってきた時には傷だらけ。

 隣村に突然お侍さんが襲ってきたんだって。

 でもお稲荷様が助けてくれたっていうんだよ!

「稲荷は?」

「お稲荷様にあげたんだが…?」

 光の狐に振り返るといなくなっていた。

 でも、そこに簪が置かれている。

 皆で泣いて喜んだ。

 お稲荷様は、本当に叶えてくれた!

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