新婚生活
「おはよリリ」
「おはよ」
結婚決定から翌日。
俺はひそかに心で決断していることがあった。
それは、もう元居た現実の世界には戻らないということだ。
この世界で結婚が決まった以上あっちの世界に戻っても、いいことが何にもない。
親に結婚を決まったことを報告してあげたいが、この幸せな世界から一秒たりとも抜け出したくないという気持ちが強すぎて、そんなことは二の次になっていた。
この世界では人生勝ち組ルートが確定していて、俺は目の前に敷かれた幸せのレールの上を歩いていくだけで、最高の生活を送ることができる。
この世界に来てからなんだか人間としてだらしなくなって気がする。
なんというか、今までは世の中の逆風に立ち向かおうと努力してきたが、この世界ではそんなこと必要ないので、必死に何かを動かそうとする力がなくなったように感じる。
まあ、それも仕方ないことか。
「ご飯もうできてるよ」
「ありがと」
このままずっと俺はこのリリと人生を共に歩んでいくんだ。
「今日もリリの作ったご飯はおいしいよ」
「えへへ、」
恥ずかしそうに耳を揺らしている。
なんともかわいい。
「俺もさ、何か仕事をしようと思うんだけど、なんかリリの力になれることない」
「スー君は働かなくていいよ。私頑張るからさ」
「そう。。。」
リリ毎日仕事をしてくれてるおかげで俺はただ飯食ってるわけだし、
なんだかすごく申し訳ない。
でもリリ俺が働くって言ったら反対するだろうしな。
よし!内緒で俺も仕事探そう!
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