第3話 状況開始
ようやく、アサルトライフルを肩から下げた町人たちが街の至る所から現れ始めた。
陣地からの爆発音を合図に残り三機のAFTに兵士が乗り込んだ。
「トーマス・ジェファーソン隊、状況開始!」
だが、そう簡単に行くはずもない。情報部の偵察情報は3日も前のもので実際は機甲三個中隊がルート3のすぐ近くにいた。さにらは護衛のヘリ部隊も従えていた。
「こちら、スカイエルフ隊。地上目標に動きはない…いや! 情報が間違っていないか?本当にトゥーポイントにはレジスタンスだけなのか?警戒陣地が壊滅しかかっているように見えるが!」
残念だが攻撃ヘリ部隊の偵察通り警戒陣地と防御拠点の一つがまさに陥落寸前であった。
「なんだ!!あの兵器は。奴ら新型兵器を投入している。あれはレジスタンスなんかじゃない。ファーガスの第一線級の部隊だ!!」
ミサイル攻撃と機関砲の攻撃を喰らって陣地の一つがその帝国兵士とともに破壊された。
「なんだって?新型兵器だと? 諜報部め、何をしていやがった。全車、進路変更トゥーポイントの街を再攻略する!!」
その動きは空からだけではない。地上にいたファーガス共和国の機甲特殊部隊の兵士の目にも映っていた。
「こちら、観測隊。助太刀する予定はなかったがどうやら、必要なようだ。」
「ダガー、砲撃開始しろ!!」
「了解!ダガー1砲撃する」
その50㎜砲の砲身は5mほどある機体から1m程度はみ出し、轟音と共に火炎を噴出した。
敵の戦車隊は命中弾を受け始めてその存在に気付いた。
「くそ、新手だ。第二中隊長がやられた!!全車散れ!!!」
突撃隊列を組んでいた戦車隊は四方八方に広がりながら回避運動を始めた。
合図とともにほかの方向からも砲爆音が響き始めた。観測部隊が砲撃を始めたのだ。
先に主戦陣を攻撃していたβ隊からも報告が入った。
「隊長! この当たりの主力部隊の一部を撃破。しかし、新手がいます。規模は三個機甲中隊。我々の隊の弾薬では…」
「承知している。しかし、再びトゥーポイントの街を壊滅させるわけにはいかない。弾薬が尽きるまで攻撃するしかないだろう。」
それこそ、帝国軍の意図に屈することになる。ここは下がれないのだ。それに必要な措置はすでに打ってある。予想外の敵の増援にでも一定期間ならば耐えることが出来そうであった。
「序盤から苦しい戦いだが仕方がない。こうなることはある程度想定済みだっただろう。」
この機甲特殊部隊の指揮官である隊長の言葉に隊は奮起し、ダガー機は砲撃を加え続けた。
セティール帝国陸軍 ――第341戦車大隊――
僅かに一機とはいえ強力な50㎜砲の砲撃にたじろぎ回避運動を余儀なくされていた。
「!! なんなんだ、あの機体は!!こちらの120㎜よりもヤバイやつが…」
デザートパンツァー ハイド博士 @mazuki64
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