『プロローグ』勇者パーティ世界を救う—— 魔王討伐完了

王都を出て徒歩3分ほどの距離と〝テレポート〟3回の短い旅路の末—— ついに、魔王城へと辿り着いた勇者一行。



《魔王城(??? )》



〝シュンッ‼︎〟


魔:「着いたぞ、魔王城だ」


僧:「ここが…?」


勇:「何だこりゃっ⁉︎ 真白で何も見えねぇじゃねぇかっ‼︎」


戦:「それに何やら、蒸し暑いところであるな…」


魔:「むむむ…眼鏡が曇って、何も見えんっ‼︎」



まるで四人の行手を阻むように、朦々とたちこめる白いモヤ…。



僧:「みんな、気をつけ——」


?:「きぃぃやああぁーーっ‼︎」


勇:「んっ⁉︎」


魔:「むっ⁉︎」


戦:「んぬっ⁉︎」


僧:「うわわわっ‼︎ な、なに、誰っ⁉︎」



視界不良の中、突然響き渡る—— 絹を汚物で汚すような、の太い悲鳴っ‼︎



?:「それはこちらのセリフだっ‼︎ な、何者だ貴様らっ⁉︎今の時間は我が入浴中だぞっ‼︎入るなら後にせぬかっ‼︎」


僧:「す、すみませんっ‼︎」



かぽ〜ん。


入浴中だったらしい、バスタオルで胸までシッカリ隠したオッサンに、怒られる四人。


どうやら、ここは魔王城の大浴場のようだ。


白いモヤ—— 湯気で全体は見渡せないが、かなり広い。


こんなに広い大浴場を一人、貸切り状態で使用しているとは…。


このオッサンは一体…。



勇:「ん?あれ、コイツ魔王じゃね?」


僧:「えっ魔王⁉︎」


?→魔王:「うむ、我は偉大なる魔族の王。『魔王』ナロゥンであるっ‼︎」



どうやら、オッサンの正体は『魔王』ナロゥンらしい。



魔:「ふむ、本物か?まぁいい、倒してみればわかる事。しかも、ありがたい事に今は丸腰……マルコっ‼︎」


戦:「心得ておーるっ‼︎」


〝がしっ!〟


魔王:「なっ⁉︎は、放せぇーっ‼︎」


僧:「ちょっ‼︎ 二人とも何をっ⁉︎」



暴れる『魔王』を、力任せに羽交締めにする『戦士マルコ』。


鞘から聖剣を引抜き、にじり寄る『勇者エリック』。


魔法使いペドロ』は、既に極地魔法の詠唱を終えてステンバーイ中。


僧侶ティクス』は、仲間たちの卑怯極まりない行動にギョッと驚き、固まって動けない。



魔:「いまだっ!エリック、合わせろっ‼︎」


勇:「おうともっ‼︎」


戦:「よおおしっ!バッチこーーいっ‼︎」


魔王:「や、やめ——」


勇.魔:「「勇×魔 合体 アトミックぶっ殺スラーーッシュ‼︎」」


〝ズバビシャズバーンッ‼︎〟


魔王:「ギャアァァーーッ‼︎」


勇.魔.戦:「「「成敗っ‼︎」」」


僧:「あわわわわっ……‼︎」



悪は去った—— 哀れ『魔王』…。


こうして、勇者たち四人は、入浴中の『魔王』ナロゥンを襲撃。


見事に討ち倒し、世界を『魔王』の恐怖から救ったのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る