第13話 エピローグ(Village Police)
鈴木巡査、多田巡査、自分もおそらくは旧霞村で「つながっていた」仲間だったのだろう。神様の計算したタイシャによって、誘導され、警察官になり、村に戻ってきた。
そして自分も既にタイシャの役割を担ったうちの一人だったのか。警察官になったことの必然。そして世界を舞台にした「大きな治安」を守るという情熱が生まれ、僕はその役割を受け入れた。しかし子供たちが犠牲になっているとは思わなかった。犠牲という言い方が正しいかはともかく。
警視庁勤務に戻り、以前よりも精力的に働くようになった。警視庁の幹部としてだけではなく、日本に逃亡してきた国際手配の罪人の確保など、秘密裡に進めなければいけない案件も複数預かるようになった。村と連動することで、容易に犯人の居場所を洗い出すことができた。
自分の命は神様に委ねられていた。そう思うと人生により深く向き合うことができた。
「脳が活発に動いていますね。」
「ああ。いわゆる走馬灯ってやつかもな。脳の速度は通常の400倍になると言うから。」
「脳への負担が大きくかかっていたから、寿命が尽きてしまったというところか。脳が働くなくなったら、血液も回らなくなるし、終わりになってしまう。」
「まだこんなに小さいのに。」
「小さいと思うかもしれないが、こいつは神様だぜ。大したことをやりきった。」
人の脳は宇宙だ。僕の脳の中には一つの物語が完成した。
僕の脳を眺めていた神様は言った。
「なかなか興味深い人生だった。」
「ああ。ものごとの本質に近いところまでやってきた。この脳ももう少し刺激されれば、人間の思うところの『神様の領域』に達成できたかもしれないな。」
「改めて口に出すのはくすぐったが、脳の中で作り上げられた世界は虚構じゃないぜ。実際にその中で人は生きているし、生活している。そこで生きていることに何の疑いも持たずにな。こいつが神様ってわけだ。」
「ああ。俺たちは自分を『神を傍観して楽しむ神である』と自認しているが、俺たちもまた誰かに傍観されている存在にすぎない。」
「そんなもんさ。それでいいんだ。」
Village Police usagi @unop7035
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