SF感動巨編(短編)。月に暮らすようになった人類がその歴史を振り返る対話劇。
……なのですけれど、なんとその内容が八割がた『おっぱい』というお話。
コメディあるいはスラップスティックであることは間違いないと思うのですけれど。でも個人的にはもっとシンプルな豪速球というか、このお話そのものがひとつの壮大なジョーク、という感覚で読みました。
いろいろ小難しい話もしていますが、結局全部おっぱい。すごい。いや実は結構真面目な話というか、いろいろ深刻な歴史も含まれているとは思いますけど(しれっと政治的な意図により学説が抹殺されていたり)。
最後の終わり方が好きです。なんか普通にプロポーズして普通に結ばれるエンド。謎の拍子抜け感というか、思わぬところで変拍子が入るような感覚。こんな綺麗に収束する話だったなんて!
そして輪をかけて好きなのは、エリカさんが実質話なんも聞いてないところ(このひと本当にプロポーズのこと以外頭にない)。主題の強烈さで押し切るお話のようでいて、でも節々に見え隠れするそこはかとない狂気。好き。