午後五時

 その日、サヤカがタクヤの自宅を訪問したのは、午後四時半過ぎだった。

 二人は幼馴染みで、午後五時になるとどちらかの家に集まり、夕食の時間まで遊ぶのを日課にしていた。

「どうしたの、サヤカ。今日は早いね」

「期末テストも近いし、勉強を教えてもらおうと思って」

 タクヤは成績優秀で、サヤカの家庭教師役を務めたことがこれまでに何度もあった。タクヤは申し出を快諾した。

 勉強を開始した直後、サヤカが落ち着きのない素振りを見せていることにタクヤは気がついた。絶えず貧乏揺すりをし、頻繁に時計に視線を投げかけるのだ。

「ねえサヤカ、やるなら真剣にやろうよ」

 タクヤが注意すると、サヤカはばつが悪そうな顔をした。叱った直後は効果があったが、彼女はすぐにまた、そわそわと体を動かし、時計を気にし始めた。

「サヤカ、遊ぶのは五時からだよ。それまで待てないなら、一旦家に帰りなよ」

「うるさいなぁ! 言われなくても分かってるよ、そんなことは」

 二人は沈黙した。気まずい、重苦しい沈黙だった。二人はペンを動かし始めたが、一言も口を利かなかった。聞こえるのはペン先がノートの上を滑る音ばかりだ。

 やがて応接間の古時計が鳴り、午後五時の到来を報せた。

 サヤカはペンを机に置き、期待に目を輝かせてタクヤを見つめた。タクヤもペンを置き、腰を上げる。洋箪笥へと歩を進め、下から二段目の抽斗を開け、中から革製の鞭を取り出す。サヤカは頬を桜色に染め、下着を足首まで下ろし、四つん這いになって尻を突き出した。鞭を手に戻ってきたタクヤは、剥き出しの臀部を目がけてそれを振り下ろした。サヤカの甲高い、媚びを含んだ喘ぎ声が密室を揺らした。

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