恵まれない子供
ユニセフ的な組織の「世界の恵まれない子供たちに温かい支援を」的なことを呼びかける広告には、なぜ黒人の子供が物欲しそうな目でカメラ目線を決めている写真ばかりが使われるのだろう。世界を見渡せば、衣食住に困っている白色人種や黄色人種の子供も数多くいるだろうに。制作者がよほど馬鹿なのか。それとも、なにか意図があっての黒人推しなのか。
などと考えながら河川敷に降り立つと、少女が炎に包まれながらダンスを踊っていた。全裸だった。四肢を無闇やたらに動かしている。阿波踊りを知らない人間が出任せで阿波踊りを踊ったらこうなりました、といった風情だ。
「熱い! 熱いぃいいい! 死ぬ! 死ぬ! マジで死ぬぅううう!」
少女は喚いている。どうやら踊っているのではなく、炎に焼かれて悶絶しているらしい。苦悶に歪むその顔は幼く、せいぜい中学生といったところか。一方、体つきは大人のそれだ。
ステップを踏むたびに弾む剥き出しの乳房を眺めているうちに、ムラムラしてきた。セックスしたい、と心から思った。だが彼女は魅力的な少女であり、私は冴えない中年男だ。「性交させてください」と単刀直入に頼み込んでも、承諾の可能性はまずないと思われる。
そこで、少女が焼死するのを待つことにした。
少女が力尽きて地面に俯せに倒れ、ぴくりとも動かなくなるまでに、さほど時間はかからなかった。それを境に火勢は見る見る衰え、ほどなく完全に鎮火した。
私は逸る気持ちを抑えつつ、纏っていた衣服の全てを脱ぎ捨てた。目的物に向かって歩みを進めようとした、その時、信じがたいことが起こった。息絶えたはずの少女が立ち上がったのだ。
全身真っ黒焦げのその子供は、物欲しそうな目で私を見つめた。
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