ホワイトハウス

 トイレが詰まっている。俺の糞が詰まったのではない。前の宿泊客の糞が詰まっているのだ。電話で女を呼び出す。女は部屋の臭さに、俺は女の右手の指が六本あることに、それぞれ顔をしかめた。女を促し、糞の臭いが充満した部屋を出た。

 放置された犬の糞だらけの往来を歩いていると、突然、二匹の素っ裸のミッキーマウスが襲いかかってきた。一匹は女を犯し、もう一匹は俺の尻に狙いを定めた。俺は言った。

「この町の小学校のプールにミニーマウスが落書きされている。著作権法違反で消される前に強姦しておいた方がいいぜ」

 ミッキーマウスの一匹は脇目も振らずに小学校へと走っていった。もう一匹は、尻の穴から下痢便を垂れ流している女を犯しながら、自身も尻の穴から下痢便を垂れ流している。金玉みたいなミートボールと男根みたいなソーセージが載ったピザが無性に食べたくなった。こんな時に足を運ぶべき場所は一箇所しかない。そう、ホワイトハウスだ。

 正門を潜り、正面玄関に通じる小道を進む。数多の昭和天皇が庭に放し飼いされている。些細なことで腹を切って自死するので、それを見越して大量に飼育しているのだ。電子ペットだから餌代はかからないし、糞もしない。玄関ドアの前で自慰をしている昭和天皇を蹴飛ばし、インターフォンを鳴らす。応対に出た小人のメイドに案内され、大統領執務室へ。

 大統領はにこやかに俺を出迎えた。ピザを食べたい旨を伝えると、大統領は自らピザ屋に電話し、金玉みたいなミートボールと男根みたいなソーセージが載ったピザを注文した。

 待ち時間を利用して、俺たちはトランプのババ抜きをやることにした。ジョーカーは核ミサイルで、敗者は核ミサイルの発射ボタンを押さなければならない。

 勝負は俺が勝った。

「発射ボタンは、ピザを食べ終わってから押すことにするよ」

 水槽の中の脳味噌は苦笑混じりにそう述べた。

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