第22話 盗め!黄金少女~準備編~

家に帰ったロミオは早速ヒロネと作戦会議を行った。

リビングのテーブルにノートパソコンが二台。

ロミオが記憶を頼りに描いたアルカディア・ケミカルの実験エリア平面図が並べられている。

カメラの位置、セキュリティの種類が細かく書き込まれている。

「期限は一週間。ただしアルカディア・ケミカルが提供しているスーツやデバイスは一切は使用しない。クラッキングやハッキング等の営業妨害に当たるもの以外は何してもいい。だってよ。」

「まあ、スーツ着てたらこちらの場所を教えるみたいなもんですし、どっちみち使えないと思います。で、セキュリティですけど、かなり硬いみたいですねえ…。」

「実験エリアになんとか入れたとしても、ガキのとこまでは二段階の生体認証。登録されているのは、分かっているだけで二人だ。ジョウとハヤマだな。」

「認証の種類は顔です?」

「うーん、顔だとは思うけど、網膜かもしらん。流石にジョウは協力しないって言ってっし。」

「そりゃそうですよ旦那はん。キリシマはん、クビになりますって。顔なら精密なマスク作ればええですけど、網膜だと…」

ヒロネは素早くパソコンの中からジョウの写真を見つけ出し、目の付近を拡大する。

「…なんとか網膜コンタクトレンズは作れそうですけど、たしかあれ、最速でも一週間かかるんですよねぇ。」

「じゃあ無理だな。社員以外の出入り業者はどうだ?」

「食事の提供。あとはシーツの交換。この二つはカードキーを毎回受付で付与して通過してるみたいです。時間も毎日同じ。」

「そいつらになり済ませないか?」

「ちょっとまって下さいね。」

ヒロネは高速で業者の情報を集める。

「…うーん。急いで登録して、入り込む事はできそうですけど、出入業者の身元はアルカディア・ケミカルでも登録されているみたいですし、そこでストップされると思いますよ?」

「クラッキングを封じられたのは痛かったかもしれん…。」

早速頭を抱え始めたロミオにヒロネは溜息を吐いた。

「てっきり、何か切り札あると思うてたんですけど、ほんま無策で挑まはったんですね…。」

「無いわけじゃねーよ。あんまり使いたくない手段なだけだ。」

「ほな先に聞いときますけど、どんな手段なんです?」

「使うと決めたら教えてやるよ。…よし、ダメ元で業者になりすましてみよう。」

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