第10話 決意
「《漆黒の霧》? 『黒』の大魔導師の? そんな大物がなぜこんな
訳が分からないといった様子でノルズが長い髭をしごく。
「当のディニエルは?」
「うちに閉じ籠ってる。受けた恩を思うと誰に合わせる顔もない、とさ」
「しかし、仕方あるまい。仲間の魂を呪縛されておるのじゃろう?」
「らしいな。毎晩毎晩、契約の悪魔に、
「何と……。同じ立場なら、儂も誰かを
「俺だってそうだ」
もし仮にゴルトンやダノンの魂を人質に取られたとしたら。想像もつかないことだが、言いなりにならないとは口が裂けても言えない。
「アダラの婆さんは何だって?」
「やはり占っても見通せんらしい。《漆黒の霧》が邪魔をしておるのかもな。どうあれ
結界の一新は村の浄化をも兼ねる。
あるいはディニエルに
「それじゃ儀式にディニエルは」
「もちろん連れて来い。何、誰にも何も言わせんよ。
ノルズの屋敷を出て、雲がちな暗い空の下を家へと戻る道すがらだった。
肩を落としたダノンが木立の陰から
「……ごめん、爺ちゃん。俺が、掟を破ったばっかりに」
今さら
「明日の儀式の
ダノンは決意の眼差しで深く
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