第2話 孤児
「夜警が
ヴェストリの
籐椅子に身を預けた友の姿には
突飛な話に驚きつつ、それでも
「長老会の連中と夜っぴて詮議を続けた
所望されるまま蜂蜜酒を一杯出してやると、ノルズはそれを一息に飲み干した。
濡れた白い口髭の奥から、ごとりと床に落ちそうな重い溜息が漏れた。
「戦災孤児というのかの。森で狼に追われておったのを夜警が助けて、うちに連れてきた。焼け野原にされた里から身一つで逃げて、あちこち流れてここまで来たらしい」
「馬鹿どもが」
夜警のことだ。ドワーフではない者を、
「けどよ、エルフの里なんざ近くにはねえだろ」
「かなり遠いな。ひどいものだったぞ、身なりといい目つきといい。旅とも呼べんような旅を長く続けてきた様子で」
「だからって禁を破ってもいいって話にはならねえけどな」
「場合が場合じゃ。孫を責めんでやれ」
ふん、と鼻で応えたヴェストリは自分の
窓の外、普段と変わりない朝の景色を見やって口を付けた。
村にエルフがいる。
脳裏に、かつて王宮で見た
それでな、とノルズが続けた。
「訪ねたのは他でもない、
「その名で呼ぶな」
「預かってほしくてな。そのエルフの娘を」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます