第四夜 オトギバナシ
「何かな?」
内心、何を
「アールスメールゴールドを探し続けているんだ。何処に行けば咲いている?」
専門外のことだ。アキラは知る由も無かったが、少年の夢を壊すようなことは、したくない。正直に知らないと言えば、ミコトは、がっかりと肩を落とすだろう。アキラは、病の床に
「
「素敵だね。僕、あの鳥の姿を借りて、飛んで行きたい」
銀枠の窓の外を飛翔する鳥が見える。疑うことを知らない少年は、アキラの
「ミコトくん、黄金の薔薇を求めて、どうするんだい? もし、摘んで持ち帰ろうと思っているなら、きみに大切な内緒話を打ち明けたことを後悔する。詰め草の泣く
「僕、黄金の薔薇をひとめ、見るだけでいい。そして魔法の
ミコトは、それだけ話すと苦しそうに息を吸い込んで、瞳を閉じた。
それ以上、話させるのは酷なように思えて、アキラは
暫くして戻ったアキラは、水道水で冷やした自分のタオルを、ミコトの額に
「ミコトくん。続きは、また今度にしよう。今日は、もう、おやすみ」
少年が寝付くのを見届けると、アキラは、もとどおり扉を少しだけ開いた形にして、自分の病室に戻った。
ミコトは眠る。アールスメールゴールドの幻を近くに感じている。
第五夜『現実』に続く
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