第三夜 会話
少年は、図書館の
「
青年は、愛らしい少年に
少年は、
「そう。残念だね」
精粋な眼差しを逸らせて身を翻した少年は、寝台に潜ってしまう。それでも尚、辛抱強く立ち去らない青年に、忠告する。
「僕に近寄っては駄目。病が
「いいよ。それでも構わない」
青年は、枕に埋もれた少年の顔を間近にして、その整然とした目鼻立ちと絹糸のような黒髪に縁取られた輪郭に、人形を想った。
それは無表情に凍て付いた、一種、病的な美しさだ。
「ミコトくんは、胸の病気?」
あまりにも直入過ぎるかと慮りながらも、青年は訊ねた。
ミコトくん。そう呼ばれた少年は答えず、逆に問う。
「そんなふうに、見えますか?」
「ごめん。とても色が白いし……」
壊れそうに
結局、少年は自分の病に対して返答を濁らせたまま、横たわっていたが、青年に親しみを示し、問いを重ねてくる。
「お兄さん、図書館でアールスメールゴールドを教えてくれた人だね。
「僕はアキラだよ。窮屈な相部屋に居る。胸が悪いのは僕なんだ。肺炎で」
アキラを
「アキラさん。肺炎で入院している、アキラさん」
グレーの瞳が潤んでいるのも、どうやら熱の
「大丈夫かい? 看護師さんを呼ぼうか」
しかし、ミコトは平然と、熱に動じる気色を見せ無い。
「呼ばないで。あの人たちは、すぐに僕を寝台に
第四夜『オトギバナシ』に続く
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。