第10話 小坪
「ブロックされたぁ!?」
誕生日翌日の月曜日。
学校帰りに昂太と長谷川と齋藤と僕の四人で、カラオケに来ている。
みんなが僕の誕生日祝いで集まってくれたのだ。
「昨日の誕生日はどうだった?」と聞かれて、先生とのことは言えないのでハルのケーキの話をした。
最初に叫んだのはもちろん長谷川だった。
「そんなわけあるか」
冷静に言う昂太に
「あるんだよ、俺だって信じらんねーよ、なんだよそれ」
とふてくされて答えた。
「お前なにやらかしたんだよ」
齋藤の低い声に一瞬考えてから
「とりあえず心当たりはない」
と言った。
「大体さ、誕生日に手作りケーキを持って来た相手をブロックするって、どんなツンデレ仕様なんだよ。教えてくれよ」
「手作りケーキ?見せて見せて」
「ん」
長谷川に言われて昨日撮ったハルのケーキの写真を見せた。
「うっわなにこれ、すげー!職人かよ、パー、パティ?なんだっけ」
「パティシエな。これ上にのってるのクッキー?めっちゃ凝ってんじゃん」
「まわりに飾ってある苺も切り方が変わってるし」
僕のスマホの画面を覗き込みながら口々に感想を言った。
「しかもめちゃくちゃ美味かった」
「いいなぁ。俺も食いたかった」
「んでお礼のメッセージ送ろうとしたらブロックされてたのか」
「うん」
「ラインだけじゃなくて?メアドも?」
「電話も全部だよ。てかあれ、俺のデータ全部消してんのかも」
「まーじーかー」
「それは…なかなかだな」
「だろ?なんで?もうわけわかんねー」
ため息をつく僕に昂太が言った。
「俺が聞いてやろうか?」
「いいよ、もう。ハルのことだから何か理由があるんだろ」
「直接話してみろよ」
「俺もそう思って今朝、一緒に通学してた時の電車に乗ったんだけどさ、いなかったんだよ。これ完全に避けられてるよな?」
「あー、それは違うな」
やけにはっきりと昂太が否定した。
「なんでわかんの」
「バイトだろ」
長谷川が言う。
「え?バイト?ハルが?ってかなんでお前ら知ってんの」
「お前が知らないことが驚きだよ」
齋藤までが知っているらしい。
「通学途中のコンビニでバイトしてるぞ。ゴールデンウィーク明け頃からかな。朝登校前と週末に」
昂太は時間まで把握していた。
「まじで。全然知らなかった。いや、そう言えば最後に会って話した時、ハルが途中の駅から電車に乗って来たの見たわ。あれか」
「それだな。サッカー部の何人かがコンビニ通いしてるよ」
「相変わらず人気だな、杉山は」
「あのコンビニの制服姿ですら可愛いからな」
「お前、しっかり見に行ってんじゃねーか」
低い声で繰り出される齋藤のツッコミを聞きながら、僕は考えていた。
ハルがコンビニでバイト…。
ハルとバイトが僕の中でどうしても結びつかなかった。
ハルの家は歯医者で、大金持ちってわけじゃないけどお小遣いに不自由しているって話は聞いたことが無かったし、ハルがバイトをしたいって言葉も過去に聞いた記憶が無かった。
「大丈夫か、碧樹」
考え込む僕に昂太が聞いてきた。
「なにが」
「俺はなんだか胸が痛いよ。あんなに仲良かったのにさ」
「俺が振られたみたいに言うなよ」
「そうだけどさ。俺が余計なこと言わなかったらお前たちはあのままだったのかと思うと」
「別にそうじゃねーよ。俺からハルと離れようとしたんだし。そのこと自体に後悔はないから」
そう答えながら、昂太以上に胸を痛めているのは自分なんだと知った。
僕はそんなにもハルを傷つけたんだろうか。
僕が望んでいたのはこんなことではなかったはずだ。
自分にとってちょうどいい距離にいてほしいと望むのは、僕の我儘だったのか。
もう前みたいには戻れない。それはわかってるけど。
でも。
「そんで?どこにあんの?」
「何が?」
「そのコンビニ」
翌朝、僕はいつもより二本早い電車に乗った。
高校の最寄駅の一つ手前で降りて、昂太に教えられたコンビニへ向かう。
自動ドアを入ると「いらっしゃいませ~!」と元気な声が聞こえた。
ここからはレジにいる店員の顔は見えない。
今日は火曜日なのでお弁当は必要なかった。
一番奥の飲料の棚まで行ってペットボトルのお茶を一本選び、アイスのケースへ向かった。
ケースを開けてガリガリくんを一つ取ってレジに並ぶ。
そこで初めてレジを正面から見ると、一番右のレジにハルがいた。
大きな声ではきはきと接客している。
僕が並んでいることに気付いていない。
全部で三台あるレジの一番左側に一列に並ばされているから、ハルからは顔が見えないんだ。
ハルのレジに呼ばれる確立は三分の一。
次々とレジに呼ばれる客たち。自分の番になった。
「お次のお客様、どうぞー!」
よしっ!僕は真っ直ぐハルのレジに向かった。
「いらっしゃいま…せ?」
目があった瞬間、かたまったハルに商品を渡す。
「おはよ」
「碧樹、なんで」
「ハルがバイトしてるって聞いたから来た」
「あ、そうなの。こちら温めますか?」
「お願いしますってなんでだよ」
僕のガリガリくんをレンジに入れようとするハルを止めて、急いで言った。
「ちょっと話せない?」
「無理。ギリギリまで仕事だし。帰りも用事あるから」
「…わかった。じゃ、一言だけ」
「なに?」
「ケーキありがと」
そこでやっと、ハルが笑った。
「220円です」
250円を渡すとお釣りを返してくるタイミングで言った。
「碧樹、お誕生日おめでとう」
久しぶりに見たその笑顔に僕が答えようとしたのに、ハルはお客が並ぶ列に向かって「次の方どうぞー!」と言ってもう僕を見てはくれなかった。
仕事中なんだ、仕方ないよな。
コンビニを出てから、さっき危うく温められそうになったガリガリくんを袋から出してかじった。
結局ブロックされてることは聞けなかった。
バイトを始めた理由も。
けどケーキのお礼は言えたから、ここまで来て良かったな。
少なくともわだかまりは消えたと思う。
ブロックされていても、顔を見れば話してくれるし笑ってくれることがわかったから。
そう思うことにして再び江ノ電に乗り、一人で学校へ向かった。
その日の昼休み。
カウンセリングルームで、先生とお弁当を食べている。
今日のメインはクリームコロッケだった。
「これ難しいのよね。ちょっと衣が焦げちゃったの。他のは爆発しちゃったし」
「爆発??」
「うん。爆発したのは自分で食べた。おいしくなかったらごめんね」
「えー、ずるい。次は食べさせてください、爆発コロッケ」
「あのね、失敗作だからね。全然楽しくないから。それに次も失敗する前提で言ってるでしょ、それ」
そんな先生の可愛い言い訳を聞くと、ますます言い出しにくくなる。
今日話そうと決めたのにな。
「どうしたの?なんか今日は静かだね」
何かあった?とその目が聞いてくれる。
仕方がない。ここはきちんと話をしなきゃいけない。
ごちそうさまを言った後で、僕は話し始めた。
「実は、日曜日に行ったあのお店で」
「うん」
「隣のクラスの女子に会いました」
「え?」
「僕は知らない人だったんだけど、向こうは知っていたみたいで声を掛けられて」
「あ、もしかして店員さんの女の子?私が会計してる時に話してたよね」
「それです」
「それって…もしかして」
「いや、先生の事は知らなかったみたいで、ばれてはいません」
「ばれ?…そう」
「お姉さん?て聞かれたので、親戚のって言ったら納得してくれたみたいです。雰囲気似てるって」
「似てるって?市原君と私?」
「そうです」
そこでしばらく沈黙が落ちる…。
先生の頭の中は今、めまぐるしく考えているだろう。
帰りの江ノ電の中で、僕がそうだったように。
「そっかぁ…ただの食事じゃなかったしね。お誕生日のお祝いだもんね」
「はい。偶然会ってお茶したっていういい訳ができないですよね。今は先生だってわからなくても、校内で顔を見て気づいてしまう可能性があります」
「そうだね」
「これから…どうしますか」
僕は先生の意見を聞くことにした。
「うーん。市原君はどう思う?」
「僕はできれば続けたいんですけど。でも先生にご迷惑を掛けたくないです。今回あの子はバイト中だったから写真撮られたりしてないけど、どこかで誰かに撮られる可能性が出てきたわけで」
「あ!パパラッチ的な?」
「え?まあそうですけど」
「えー、有名人みたいだね」
「……」
あれ?なんか先生ちょっと楽しそうじゃない?
危機感ゼロですか?
「SNSとか上げられたりしたらアウトでしょ?一回ネットに出回ったら消せないですから」
「あー確かに。今中高生のイジメってほとんどそれだもんね」
そう、一番怖いのはそれだった。画像が出たら噂程度じゃすまなくなる。
先生はしばらく考えてから言った。
「うん。じゃあ残念だけどお出かけはしばらくお休みしようか」
「…はい」
本当に本当に心から残念でしょうがないけど、それしかないよなぁ。
僕はおもいっきり顔に出ていたんだと思う。
先生はわざとのように明るい声で言ってくれた。
「ここでお弁当食べるのは問題ないよね?」
「はい。でもお弁当のお返しで案内役をしていたのに、心苦しいというか」
「いいのよ、私は別に。ここで市原君に楽しいお話を聞かせてもらえれば」
「えっ楽しい話?」
「うん。次回から何かネタを考えてきてね。あ、モノマネとかでもいいよ」
「はいぃ??」
一体何の無茶ぶりだ。
そう思ったけど、落ち込む僕の気持ちを少しでも上げようとしてくれてるんだと気付いて、先生の気持ちが嬉しかった。
デートはできなくなったけど、週二回ここで過ごす時間はあきらめなくていいんだ。
そう思えば耐えられると思った。
「今月末は期末テストもあるし。勉強頑張ってね」
「は、はーい」
ほんと、人生楽しいことばかりじゃない。
期末テスト前の一週間、僕は図書室通いを再開することにした。
もう誰に何を言われようとかまわない。
図書室でテスト勉強する生徒がいて、何が悪いんだ?
同じ学校の中にいても顔も見れないなんて耐えられない。
もう学校外で会うことはできないんだ。これぐらい許してほしい。
誰に対して許可を求めているのかわからなかったけど、僕の中ではそれぐらい切実だった。
そしてちょっとドキドキしながらやって来た久しぶりの図書室。
いつもの指定席を確保してそっと向かいの校舎の保健室を眺めてみれば、そこには人のいる気配がなかった。
中庭側の窓には白いカーテンが引かれ、先生の机も見えない。
なんでだろう?と考えて思い当った。
期末テスト一週間前…ってことは部活動は全面休止だ。
つまり放課後保健室のお世話になる生徒もいないってことで。
保健室もお休みなのだろう。
「…なんだよそれー」
ちっちゃい声でつぶやいて、ため息をこぼした。
仕方なく英語の教科書を広げると、真面目に勉強を始めた。
ふと気が付くと、左隣に座っている女子三人組のおしゃべりが聞こえてきた。
ちらっと見ると知らない顔。上履きの色で確認すると一年生らしい。
もう、うるさいなー。音楽でも聞くか、とスマホにイヤホンを取り付けた時に耳に入ってきた会話。
「…ちゃんの浴衣、何色?」
「普通に紺地のだよ。やっぱ浴衣で行く?」
「うん。せっかくだから着たいよね」
「どこから見るぅ?」
「やっぱ由比ヶ浜…」
そこまで聞いて「あ!!」と思った。
すっかり忘れていたよ、その行事。来月、鎌倉の花火大会だ。
今年は何日だったかな?
そのままスマホで検索した。7月24日火曜日!
もう夏休みに入っているけど、先生予定入ってるかな。
花火は夜だし、人がいっぱいだし、場所を選べば一緒にいても大丈夫な気がする。
やった!!花火だ!!
そのまま妄想とデートのシュミレーションに突入した僕は、二度と英単語に目を向けることはなかった。
「夏休みの予定?」
テスト前の最後のカウンセリングルーム。
期末テストが終われば授業は午前中だけになるので、昼休みが消滅する。
つまり、一学期最後のランチタイムのこの日、先生の夏休みの予定を聞いた。
「そうです。どこか行くんですか?帰省とか」
「ううん。今の所予定ないけど」
「実家に帰らないんですか?」
「うん。家族いないから」
「え?」
「ふふ。それに夏休みこそ鎌倉にいたいのよね。せっかく住んでいるんだし」
今、家族いないって言った…よな。
聞き返したけど答えてくれなかったってことは、あまり突っ込まない方がいいのか?
うん、やめておこう。僕は気を取り直して話題を変えた。
「じゃあ、花火見に行きませんか?」
「花火?」
「はい。鎌倉の花火大会です。夏休みに入ってすぐなんですけど、一緒にどうかなと思って」
「えー、花火かぁ。きっと綺麗だよね」
「そりゃあもう。めちゃくちゃ綺麗です」
「見たいけど…人がたくさん来るよね」
「ま、確かに由比ヶ浜とか材木座辺りはすごい人出ですけど。夜だし、僕、穴場を知ってます」
「え?どこどこ?」
「逗子なんですけど。逗子マリーナの裏手の山の上に公園があって、そこからよく見えるんですよ。近所の住民ぐらいしか見に来ないから、知り合いに会うこともないし」
「ほんと?それなら大丈夫かな」
「絶対大丈夫です!」
僕は右手の親指を出して力強く保障した。
先生は子供のような笑顔になって、楽しみだなぁと言ってくれた。
翌週は地獄のテスト期間だった。
期末は教科が多いし範囲も広くなるので大変だけど、苦手教科もギリギリ平均点辺りをクリアーして、なんとか無事に終了した。
大学受験も推薦を狙っているわけじゃないし、赤点取らなきゃオッケーなんだけど。
昂太は苦手な現国と古典を落としかけて、無駄に増やされたプリントの課題で何とか赤点を回避した。
仲間の中では一番勉強が苦手そうな長谷川が、意外にも問題なくクリアーしたと聞いて
「案外やるなぁ」
と言えば
「まぁね。全教科、ほぼ平均点だから」
と何故か自慢げに答えた。
「それもどうなの」
「平均点を目指してんのかよ」
「オール三の男だな」
と三人が突っ込むと
「正直、二もあるけどね。一がつかなきゃいいんだから」
と彼なりの処世術を唱えた。
何はともあれ、これでしばらくは勉強から解放される。
「夏休み、どうするの?」
「昂太は部活と合宿か」
「うん。今年は関東大会までは行きたいな」
「頑張れよ。俺は最後の夏休みをエンジョイするぜ」
「なんで最後?」
「来年はさすがに予備校だろ」
「うえー」
「時間が合ったら遊びに行こうぜ」
「うん。連絡して。じゃなっ」
こんなふうに僕たちは夏休みに突入した。
そして、待ちに待った花火大会の日がやって来た。
先生と僕は夕方五時に逗子駅で待ち合わせをした。
鎌倉からは横須賀線で一駅だ。
逗子海岸や葉山方面で遊んで帰る人たちと、多分花火を見に来た人たちでホームはごった返していた。
改札を出た所で待つつもりが、今日は先生の方が先に来ていた。
「市原くん」
呼ばれて見ると、今までで一番綺麗な先生の姿がそこにあった。
爽やかなペパーミントグリーンのワンピースに、白いサンダル。
あじさいデートの時にも持っていた、丸い籠バッグを提げている。
思わず駆け寄ると
「早く着きすぎちゃった。楽しみすぎて」
そう言って首を傾げて笑う先生に、なんていうか僕は完全に打ち抜かれてしまって何も言えなくなってしまった。
ゆるやかにまとめた髪がうなじにかかって、ありえないぐらい色っぽい。
え?色っぽい?
可愛いとか綺麗とか思ったことは何度もあったけど、色っぽいって思ったのは初めてかも…
僕はきっと間抜けな顔をしていたんだと思う。
「どうしたの?」
と聞かれて
「か、可愛いです」
と思ったまんまを答えてしまった。
とたんに先生は顔を真っ赤にして
「ええーっほんとかな」
と照れくさそうに言ったので
「いや、ほんとに。すげー綺麗でびっくりしました」
とさらに自爆した。きっと先生以上に僕の方が真っ赤だ。
「浴衣にしようかとも思ったんだけど、けっこう歩くみたいだから」
「は、ええー。浴衣も見たかったけど、でも、それは贅沢すぎるというか…いや、僕ごときにそんな…もったいない…って何言ってんだろ」
どんどん語尾が小さくなってしまう。頑張れ、俺!
「あ、ここからバスに乗ります」
バス停に移動しながら、もうドキドキが止まらなかった。
先生と話をすること自体が久しぶりなんだ。
テスト前の最後のランチから、連絡はメールだけだった。
我慢できずに時々図書室へ行くことはあったけど、遠くから姿を見るだけだったし。
久しぶりに外で会った先生は本当に綺麗で、まともには見られないほどだった。
あーもう、やばいやばいやばい
こんな気持ちになったのは生まれて初めてで。
暴走してしまいそうな自分を抑えることができるのか、もう不安しかなかった。
バスは始発だったから座れた。
先に乗った先生が二人掛けのシートの奥に座ったから、僕は隣に座ることになる。
ただでさえ密着しているのに、外気の暑さのせいで顔から汗が出そうで落ち着かなかった。
先生の方を向けずにいると、僕の右側から風が送られてきた。
思わず見ると、先生が扇子を広げて扇いでくれていた。
「暑いねー」
と言いながら風を送ってくれる。
水色に小さな赤い金魚が泳いでいる図柄の扇子がパタパタと動くたびに、良い香りがする。
先生の香水なのか、扇子そのものから香るのかわからないけれど、シトラス系の爽やかな香りだった。
「可愛い扇子ですね」
「うん。お気に入りなの。夏場は手放せないよね」
「僕の扇子見ます?」
バッグを開けて自分の扇子を出して見せる。
魚へんの漢字がびっしり書かれた白と紺の二色のデザインだ。
先生は楽しそうに笑ってくれた。
「なにそれ面白い。お寿司屋さんの湯呑みみたい」
「前に昂太に国語のテストの時に貸してくれって言われましたよ」
「あはは。読めない字もたくさんありそう」
「確かに」
僕は広げた扇子を先生に向けて扇いだ。
狭いシートに座りながらお互いに風を送り合う。
「このバスって、鎌倉駅行きなんだね」
「そうですよ」
「じゃあ帰りはこのバスで帰ればいいんじゃない?」
「そうですねぇ。逗子に出るより早いかな。でも道路渋滞しそうだし、お腹すいちゃうかな」
逗子から鎌倉までの海沿いの道路、国道134号線は夏場は万年渋滞だけれど、花火のようなイベントがある日は特にひどい。
そのせいで湘南地域の花火はあえて平日に行われるのだけれど、それでも車で来る人が後を絶たないのだ。
「私、サンドイッチ作って来たの。少しだけど一緒に食べよ?」
「ほんとに?あ、じゃあ飲み物は僕が買います!」
「そう?じゃあお願いしようかな」
「はい!」
先生が食べる物を用意してくれていたなんて、びっくりした。
今日を楽しみにしていたのは僕だけじゃないのかな、と少し期待してしまう。
先生と会えなかった時間、ずっと考えていたことがある。
もう学校以外で先生と会えるのは今日が最後かもしれない。
それなら僕は今日、なんとしても先生と一歩進んだ関係になりたかった。
そのためにはどうしたらいい?
思い切って手をつなぐとか。
名前を呼んでみるとか。
僕が先生の事、恋愛対象として意識していることに気付いてもらえるような行動をとること。
そして今日の最大ミッションは、先生を家まで送らせてもらうこと。
夜だし。暗いし。危ないし。僕に送らせてください!
そう言い続けて、絶対に送らせてもらう。
少しでも長い時間、先生と一緒にいたいんだとわかってもらいたいから。
もしも先生が僕を生徒の一人以上の気持ちで見てくれたなら、僕のこの夏休みはどんなに楽しいものになるだろう。
一体なんの根拠があってそんなふうに思ったのかはわからない。
一歩踏み出すことで先生を失うことになるかもしれないなんて、この時の僕は思いもしなかった。
目的のバス停でバスを降りると、十五分ぐらい歩いて公園に着いた。
時刻は六時前なので十分明るい。
「まだ時間あるから一周しましょうか。ここ、動物がいるんですよ」
「動物?なんの?」
「孔雀とか、モルモットとか?あと、猿も」
「えー、そうなの?見たい!」
公園で飼育されている動物を二人で見てまわった。
動物たちは暑さでぐったりしているようで元気がなかったけれど、先生は楽しそうだった。
特にモルモットを気に入ったようで、ずっと金網に張り付いて話しかけていた。
そんな先生の姿が可愛くて、僕は動物よりも先生から目が離せなかった。
「そろそろ展望台の方に行きましょうか」
「そうだね、明るいうちに食べちゃおうか。ベンチとかあるかな」
自動販売機で二人分の飲み物を買って移動した。
展望台近くのベンチに座って、一緒にサンドイッチを食べる。
厚切りの食パンに切り込みを入れて、ポケット部分にスクランブルエッグとテリヤキチキン、レタスときゅうりが入っていてボリューム満点だった。
「すごいおいしいです!」
「ほんと?良かった。このパン大好きなの。少しはお腹のたしになったかな」
「めっちゃなりました。ご馳走様です!あ、ほらそろそろみんな集まって来ましたよ」
日が暮れると見物客が続々と集まってきた。
僕たちもベンチを片づけて見物場所を確保するために立ち上がった。
海岸を見下ろす場所へ移動すると、先生はその景色に見とれたようだった。
「すごーい!あれ富士山だ」
眼下には逗子マリーナ、その先右側に由比ヶ浜と稲村ケ崎、左側に江の島、どこまでも続く相模湾の向こうに富士山のシルエットが見えている。
「冬だと空気が澄んでいるからもっとはっきり見えるし、雪かぶってて綺麗なんですけどね」
「これも十分綺麗だよ。江の島の向こうに夕映えの富士山のシルエット。絶景だね。浮世絵みたい。北斎もここからこの景色を見たのかな」
「『神奈川沖浪裏』ですね。この景色はずっと変わってないんだろうな」
「あれが一番有名だけど、『相州江の島』とか『相州七里ヶ浜』もいいよ。あの頃から歩いて江の島に渡っていたんだなってわかって面白い」
「へぇ。そうなんですね。有名なやつしか知らなかったです。帰ったらぐぐって見ます」
僕は『富嶽三十六景』の中で多分初めて耳にした二つのタイトルを、自分の脳のどこかに刻み付けた。
「うん、ぜひ。ふふっ市原君て素直だよね」
「えっそうですか?」
「うん。いつもここから花火を見ているの?」
「いや、友達と行く時は由比ヶ浜とか、出店が出てにぎやかな方へ行くことが多いんですけど、ここは昔家族で来たんです」
友達っていってもハルだけど。そこは濁しておこう。
「家族で?」
「はい。母が…体が弱かったので人混みが苦手で。花火大好きで誰よりも楽しみにしていて、張り切って出かけるんだけど、いつも帰りに具合が悪くなっちゃうんです。で、父が心配してここに連れてくるようになって。早い時間に車で送ってくれて、僕たちが動物見ている間に逗子駅の方の駐車場に車を止めて、またバスで上がって来るんです。今思うと過保護ですよね」
先生に話しながら、僕は思い出していた。
毎年当たり前に見ていた花火のことを。
最後にここで花火を見たのは、僕が八歳の時だ。
海の上に打ち上がる花火を見て、子供のように喜んでいた母さん。
その夏の終わりに…母さんは。
ふと、沈み込みそうになった僕に気付かずに先生は言った。
「そうなの。とってもいい思い出だね。羨ましいな」
羨ましい?
そういえばこの前、僕が夏休みは帰省するんですか?と聞いた時、先生は家族がいないから帰らないと言っていた。
あれはどういう意味だろう。
何か理由があって実家というものがないとか。
例えば両親が離婚して別々に暮らしているとか。
でもその場合でもどちらかの親の家には帰るんじゃないか。
まさか、本当の意味での天蓋孤独?
「先生にはないんですか?花火の思い出」
「あるよ。昔鎌倉に住んでいたって言ったでしょ?多分二夏ぐらいだったかな。小さかったからどこから見たかは覚えていないんだけどね。浴衣着せてもらって、父親が肩車してくれたのは覚えてる。海に上がる花火を見たのはそれが最初だったな。あとは学生の頃墨田川の花火とか見に行ったけど、東京の花火って川に上がる方が多いよね」
「あーそうなんですね。この辺じゃ花火は海に上がるものだけど」
「うん。潮風と花火の火薬の匂いと、海岸に響き渡るどーん!っていう音。海に落ちる火花がじゅーじゅーいいそうで、海に上がる花火はワイルドでいいわ」
「確かに。投げ込み花火とか、どうなってんのって思いますよね」
たわいもない話をしながら考えていた。
そう、先生は以前家族で鎌倉に住んでいたんだ。少なくとも天涯孤独ではないはず。
ならばやっぱり何らかの事情があって、今は家族と連絡をとっていないとか、ひょっとしたら両親が事故か何かで亡くなっているとか…。
いつの間にか空がすっかり暗くなっていた。
すぐ隣にいる先生の横顔が白く浮かんで見える。
聞きたいことはたくさんあったけど、今はその時じゃない。
そう思った瞬間、少し離れた海の方からシュー!と高い音がして、ぱぁっと夜空に大きな光の花が咲いた。
「始まった!!」
先生の声と同時にドーン!!という大きな音が響き渡る。
「おー!」と言いながら思わず手を叩くと、周りからも大きな拍手が聞こえた。
最初の一発目が上がる時の高揚した空気がたまらなく好きだ。
それからは次々に色とりどりの火花をまき散らしながら、大きな花が夜空を彩った。
いくつかの大玉が打ち上げられた後、スターマインが始まった。
シャワシャワという音とともに下から吹き上がる噴水のような花火は、繊細で美しくていつまでも見ていたくなる。
周囲の見物客もみんな声を上げて喜んでいた。
先生も気に入ったらしく、子供の様に飛び跳ねている。
「すごい、綺麗だね!これ大好き!」
そう言った先生の声が思ったより近くから聞こえて、僕は驚いて先生を見た。
僕の右側にいる先生の左腕と僕の右腕が、ほとんど触れ合うほどだった。
周りの歓声に負けないように、斜めに背伸びをして僕の耳元に顔を近づけて話しかけてくる。
花火の音よりも、周囲の歓声よりも、自分の心臓の音の方が大きく聞こえるってどういうこと?
僕は慌てて頷きながら、ほんと綺麗ですね、と返すのが精いっぱいだった。
その後の花火を僕はほとんど見ていなかった。
花火よりももっと綺麗な先生の横顔から目が離せなかったから。
ひときわ大きな音を空に響かせる尺玉に、次々に海に投げ込まれる仕掛け花火。
その美しさを僕は先生の表情に見つけていた。
周囲の喧騒もまるで遠くの出来事のように、僕の目には先生しか映っていなかったんだ。
やがて花火大会も終盤に差し掛かり、怒涛のような尺玉とスターマインの競演が始まった。
先生は大きく見開いた瞳を輝かせて、僕の名を呼んだ。
「市原君、見て!ほんとに綺麗。もうずっと終わらないでほしいね、これ」
興奮した先生に右腕を掴まれた瞬間、僕の心臓が跳ねた。
もう我慢できなかった。
先生の小さな左耳に向かって、囁くように…その名を呼んだ。
ずっとずっと呼びたくてたまらなかった、その名前を。
「まどか」
突然のはっきりとした呼びかけに、先生は驚いた顔で僕を見上げた。
「え?」
その刹那―――
何かを考える間もなく、僕は自分から先生に顔を寄せていた。
そしてあまりに無防備なその唇に、自分の唇を重ねた。
それはまるでかすめるような、一秒にも満たない触れ合いだった。
遠くで今年最後の打ち上げ花火の音が轟いている。
すぐ近くで起こる拍手や歓声。
そのただ中にいるはずの僕たちの時間だけが止まっていた。
今…キス、した?
自分からしたというのに、信じられない。
僕が初めて唇で感じた柔らかなその感触―――。
その淡いけれど確かな感覚に、あぁ、これがそうなのか、と。
そしてその一瞬の触れ合いが解かれた後も、僕は先生から目を離せなかった。
先生の表情は変わらないままだった。
「え?」と言った形のままの唇が、見開かれたままの瞳が。
自分がやってしまったことの衝撃を教えてくれている。
驚愕?戦慄?戸惑い?
先生の顔からはその全てが読み取れるようでいて、何も感じていないようでもあった。
その目は僕を映しているけれど、何がおこったのか理解していないみたいだった。
やがてぱちぱちと瞬きをする先生の表情を見て、自分も我に返ってゆく。
多分、この時僕は何かを言わなければならなかった。
自分の行動の理由を。
そうしてしまった気持ちを。
言い訳なんかじゃない。そうせずにはいられなかった僕の、想いを。
それができなかったのは、花火が終わってしまったからだ。
僕たちはどのくらいそうしていたのだろう。
すごく長い時間のような気がしたけれど、多分ほんの数分の間だっただろう。
終わりの合図の空砲が聞こえるとすぐに周囲の人垣が動き出した。
その中で不自然に向き合ったままでいるわけにもいかなかった。
急激に僕の意識は現実へ戻り、まだかたまっている先生の右手を掴んで、歩き出した。
一言も話さないまま、人波に押されるように公園を出た。
先生は呆然としていて、ただ足を交互に前に出しているみたいな歩き方だ。
僕に手を繋がれていることにも気付いていないだろう。
僕は少し心配になって、繋いだ左手にぎゅっと力を入れた。
小さな温かい手のぬくもりに愛しさが込み上げてきて、また名前を呼びたくなった。
「まどか」
僕がそう呼ぶと、先生はびくっと肩を震わせて立ち止まった。
僕も自然に立ち止まる。
後ろからもたくさん人が歩いて来て、先生とぶつかりそうになる。
「こっちへ」
手を繋いだまま街路樹の奥の方へ誘導した。
そこで先生は繋いでいた手を放そうとしたけど、僕は放さなかった。
「あ、あのね市原君、その呼び方はちょっと」
「だめですか?」
「だ、だめですよ。だって私は…」
「先生だから?」
「…うん」
「でも他のやつもみんな名前で呼んでますよね?まどかちゃんて」
「あれは…いや、あれもね、注意してるのよ。まどかちゃん言うなって、いちいち突っ込んでる。だけどやめてくれなくてね」
「はい。俺もやめません」
「いやいや、呼び捨てはだめでしょ」
「二人でいる時だけだから」
「それは…もっとダメでしょ」
「どうして?誰も聞いてないし。俺の事も名前で呼んでください」
「えっ」
「碧樹」
「え、えーっと」
「はい、練習」
「いやいや、言わないからね」
「どうして?」
「どうしてって。なんか今日ちょっと違くない?」
「違くないですよ。どこが違う?」
「いつの間にか…僕が俺になってるし」
「あはっ気が付きました?嬉しいな。本当はもう敬語もやめたいくらいなんですけどね」
「え…」
「まどかがいいよって言ってくれたら、いつでもやめます」
「市原君」
「かたくなだなー。碧樹」
「あ、あのね、私は…」
何か僕の望まない言葉を言い出しそうな先生を遮って、僕は言った。
「今、名前で呼んでくれる人がいますか?」
「え?」
「家族がいないって言いましたよね?まどかって呼んでくれる人、身近にいますか?」
「……」
「いない?」
先生の瞳が揺れている。
たっぷり考え込んでから答えてくれた。
「いない、かな」
その答えを聞いて、僕が最初に思ったこと。
よしっ とりあえず先生はフリーだ。
ずっと聞きたかったことに確証を得て、心の中でガッツポーズをした。
そして、思っていたことを話した。
「俺も、そんな時があったんです」
「え?」
「母さんが死んだ時…。ずっと一番近くで名前を呼んでくれた人がいなくなって、自分が誰なのか分からなくなりそうだった。でも俺には父さんもおばあちゃんも、少ないけど友達もいてくれた。だからなんとか自分を見失わなくてすんだんだと思うんです。だけど今まどかにはそういう人がいないんでしょう?違う?」
先生は驚いた顔をして僕を見つめていた。
その目が少し潤んでいるように見えるのは、僕の思い過ごしだろうか?
「俺が呼びたい。まどかって。呼んでもいいでしょう?」
先生は答えてはくれなかった。
否定されなかったことに安心して、僕は調子に乗ってしまった。
「沈黙は肯定だということにしますよ。あと、さっきのアレも」
「あ、アレ?」
「そう。アレです。なかったことにしないでくださいね」
「ええっ」
そう言うと先生は空いている方の手のひらで口元を覆った。
きっとさっきのアレを思い出しているんだろう。
照れくさい気持ちよりも嬉しくて、僕は思わず笑った。
れけど先生は今度こそ振り払うように、僕の手から自分の手を引き抜いてしまった。
そして大きく息を吸い込むと、はっきりとした声で言った。
「市原君、今日の事はまた後で話し合いましょう」
「え?」
「先生は鎌倉駅行のバスで帰ります。君は逗子駅から電車で帰ること」
「なんで?家まで送ります!」
「いいえ、君は未成年です。一刻も早く家に帰ってください。元々現地解散がお約束でしょ?じゃあ、私は向こうのバス停だから」
「ちょっと、急に事務的になってますよ。それに女性一人で夜道は危険ですから」
「そんなことないから。先生は大人なので大丈夫です。じゃあ今日はお疲れ様でした」
そういうと先生は立ち去ろうとする。
「お疲れ様って。あ、帰ったらメールします!」
後ろ姿にそう声をかけたけれど、先生は振り返らずにずんずん歩き、やがて人混みに紛れてしまった。
後を追いかけるべきかと迷ったけど、ここはおとなしく言う事を聞いておこうと思った。
僕にも頭を整理する時間が必要みたいだ。
一人の帰り道、怒涛のようなこの数時間に思いを巡らせていた。
自分でもかなり暴走した感はいなめなかった。
今日の当初のミッションは何だっけ?
先生の名前を呼ぶこと→クリアー
先生と手を繋ぐこと→クリアー
先生を自宅まで送ること→アンクリアー
そしてミッションにはなかったはずの、アレ。
先生と、キス
をクリアーしてしまった。
ゴンッ!!
僕は乗っていたバスの窓に頭を打ちつけた。
うーわー!!予定外もいいところだ。
正直、自分でもびっくりの衝動だった。
考えるよりも先に体が動くって、本当にあるんだな。
たった一瞬かすめただけのアレは、先生にとってはただの事故扱いかもしれないけど。
でも僕は念を押してしまった。
『なかったことにしないでくださいね』と。
はぁーまじかー。
今度は上を向いてため息つく。
そして別れ際に急に変わった先生の態度。
自分のことを「先生」と言ったのは、多分初めてだ。
そして、「君は未成年」「先生は大人」という発言。
いきなり線引きをされてしまったみたいな。
先生にとって、生徒とキスっていうのはやっぱり許容範囲を超えたことなのかな。
生徒として見てほしくはないけれど、生徒であることは事実だから。
生徒の一人という立場から脱出するためのミッションだったはずなのに、僕はやらかしてしまったんだろうか。
花火大会の帰り道、満員のバスの中一人で百面相をしている僕は、かなり痛い高校生だと思う。
逗子駅からぎっちぎちの横須賀線で鎌倉へ戻り、これまた乗車率二百パーセント超えと思われる江ノ電に乗り換えて家路に着いた。
先生が乗ったバスは無事に到着しているだろうか?
バス通りは大渋滞だろう。
家に着くと、すぐに先生にメールをした。
『帰宅しました。そちらは着きましたか?』
まどかは、と打ちたかったけれど。何度も打ち直して、結局そちらは、と送った。
弱いな、俺。
三十分待ったけど返信がなかったからお風呂に入ることにした。
その後一時間待っても返信は来なくて。
心配になって、またメールを打った。
『まだ着きませんか?大丈夫?心配なので返信ください』
送信してスマホを机に置くと、窓の外から派手なエンジン音が聞こえてきた。
向かいの、ハルの家の方角だ。これはバイクかな。
僕の部屋は真夏でも夜風が抜けるので、無風の日以外はエアコンをつけない。
窓は網戸にして全開にしてあるので、外の音はよく聞こえるけど、このあたりは閑静な住宅街だ。こんなエンジン音が聞こえるなんてことは今まで無かった。
網戸を開けて外を見ると、ハルの家の、歯医者の患者さん用の駐車場に大型のバイクが止まっていた。後ろのシートから降りてヘルメットを取ったのは。
ハルだった。
Tシャツに細身のジーンズという、あまり見ない格好をしている。
運転しているのは背が高い男で、ヘルメットをかぶったままハルと話している。
楽しそうな笑い声のあと、「じゃあ」という声が聞こえて、バイクは走り去った。
見送ったハルが家の中に入るまで、僕は目が離せなかった。
あのハルが?
バイクの男と花火へ?
…うそだろう?
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