彼女のルール

今日は久しぶりに外で人と会う

少し洒落をしてウキウキ気分で指定されたお店へ

外から店の中を見ると、誰もお客様はいない

不人気店には見えないが、気にせずに中へ入る


良く知った美しい女性が私を出迎えた

どうやらここは彼女のお店らしい

店主の名は森川幸子さん

今、私が一番大切にしている女性である


私 こんにちわ

幸 いらっしゃいませ

私 お店始めたんだ?

幸 はい、いいお店でしょ?

私 うん、落ち着くし気に入ったよ,せっかくだから通うね、ボトルとか入れれるの?

幸 あいにくですが、ここはボトルキープやってないのよ

私 そっか、じゃあビールでももらおうかな

幸 もうですか?

私 ん?

幸 少し話してからにしましょうよ

私 うん、そうしよう


そう言えばメニューらしきものはなかった

そしてカウンターの端に男性が一人座っていた


私 あの方もお客さん?

幸 見えるんですか?

私 見えるよ

幸 そうですか、でもあの方はこちらが見えませんし、こちらの話声も聞こえないから気になさらずに

私 そうなんだ、で、誰?

幸 主人です

私 え?


え?

そんな大胆な・・・

大丈夫なのか?


幸 でも気にしなくても良いです

私 そうなんだ、良いなら気にしないよ


気にしなくて良いらしい

いつも通り接する事にしよう


私 でも、やっぱり気になるから何処かに出かけない?

幸 今日はやめておきましょう

私 そうだよね、流石に連れ出せないか・・・

幸 それは関係ありません

私 そうなんだ・・・

幸 貴方もお店やってますよね?

私 うん、それが?

幸 私は呼ばれた事ないけど


うちのルールでは、現在進行形は来てもらってないのだが、ルールは幸子さんであろうと明かす事はしない


私 そうだね、多分死ぬまで呼ぶ事はないとおもうよ

幸 何故?

私 それは言えない、ごめんね

幸 いいわ、そのうち勝手に行くから

私 そんな日が来なけりゃいいけど

幸 そうなの?

私 そうなのw


私の都合に対して深入りはしてこない

これも幸子の良い所だ


幸 ところで、貴方は私の何処が好きなの?

私 そうだねー

私 顔も性格も全部だけど

幸 だけど?

私 僕の事を好きでいてくれる事かなw

幸 そうなのね


いつの間にか、ご主人と称された方はいなかった

なので私も饒舌だったのだろう


幸 この店は現役の方もいつでも来ていいのよ

私 現役?

幸 そう、現役

私 それがルール?

幸 そう思ってもらっていいわ


そうか・・・

理解してきたぞ・・・


私 この店には私以外の客も来るの?

幸 それって、どういう質問なの?

私 現役以外の過去の方も来るの?

幸 過去の方は1度きりの来店にしてもらってるわ


なるほど

そこは同じルールなんだ


私 何度も来てるお客様は“今”いるの?

幸 勿論いるわw

私 いるんだ・・・


聞くんじゃなかった・・・

何でも知らない方がいい場合もある


幸 一人だけどね

私 ひとりだけ?

幸 一人だけw


幸子は私を睨みながら


幸 他にも何度も来るお客さんがいるとでも?

私 すいませんでした・・・

幸 許さないわw

私 そこを何とか!

幸 じゃあねー

私 なんなりと

幸 して欲しい事考えておくわ

私 お手柔らかにお願いします


そろそろ何か出してくれるのだろうか?

期待していたのだが


幸 何にも出さないわよ

私 そうなんだw

幸 ガッカリした?

私 全然w

幸 よかったw

私 僕も良かったよ

幸 また来てね

私 毎日来るよw


この店のルールであれば、何か出してもらう訳にはいかない

この店に来る特は、何かお土産でも持ってきた方が良いのだろう


明日も

明後日も

その次の日も


私は毎日この店に通うだろう

時には花束等を抱えて来るとしよう







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レレレのレストラン 小川三四郎 @soga-bee

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