第34話 甘い

前の王様からもらった合鍵で生徒会室を開けると中はひんやりとして少し肌寒い。


 ナギが机の上に鞄を置いてすぐだった。


「……あの…修斗、俺に電話くれた?」



  ?


「いっぱいしたよ。LIMEも沢山送ったけど全然既読が付かなかったけど どうして」


「連絡できなくてごめんね。俺のスマホ壊れちゃったんだ。」


「えっ!」


「朝礼台から下りたときに転んで壊れちゃって電源が入らないんだ。修斗の番号わからなくて連絡できなかったんだ。ごめん。」


「なんだそうなのか。良かった。」


「良くないよ!!すっごい大変なんだよ。」


「ごめん。そうじゃなくて俺のこと嫌いになってブロックされたのかと…」


「そんな事するわけないじゃんか…俺だって修斗に連絡できなくて不安だったんだから。まさかスマホが壊れるなんて思わなかったよ。」



 思わずナギを抱きしめると背中にか細い手が回る。



「ナギ」


「修斗…俺、今度はスマホが壊れても大丈夫なように修斗の番号暗記するね。」


「んんっ!」////



 俺の胸に頬を埋めながらそんな可愛いことを言われて萌えない男はいない。



「…ちょっと修斗。当たってる。」


「それはナギが魅力的だからだよ。」



 革張りのソファーになだれ込もうとするとストップがかかった。



「ダメ!俺、あの子のこと許してないんだからね。」


「あの子って?王様のこと?俺、全然知らないやつだよ。」


「分かっているけど、修斗 あの子のこと抱いたの怒っているんだから。」



 抱いた?


 ……… もしかして、朝礼台のときのことを言ってるのか?


 あれは落ちてきたのを仕方なく受け止めただけなんだけどな。



 ナギを見ると涙目で頬は少し膨れている。



………ヤキモチ? かわいいな





「どうしたら許してもらえるのかな?」



「え、ええと…」





 言った本人が困っている。


 仕方ないので俺の方で提案を出した。



「じゃあ、王様が俺にしたことをナギが上書きしてくれよ。俺、ナギ以外に触られて嫌だったんだ。」


「うん❤」




 ナギはギュッと抱きついた後、頬にキスをして満足そうに微笑んだ。





「上書きできた?」


「んー、上書き出来たけど、やっぱり」


「えっ」



 チュッと音を立てて、ナギの許可なしに軽く唇をうばう。




「王様とはしてないことをナギとしたい❤」




「う~~、ズルイよぉ」


「ナ~ギ❤」



 ナギの耳に息をかける。



「へあっ❤…もぉっ 修斗っ!!」



 耳を抑えているが色を帯びた瞳で睨まれても怖くない。


 そもそもその前の『ズルイ』と言っている段階でOKは出ているようなものだ。




「じゃあ、キスだけ、ね?」


「うん…」



 さっきのような可愛い小鳥キスではなく、心も身体も溶かすような激しい口づけを交わす。


 ナギも連絡が取れなかった溝を埋めるかように俺に応えてくれる。




 唇を話す頃には身体の中心が熱く、ナギを求めずにはいられなくなって………



「ぁ…修斗…好きだよ…」


「俺も大好きだよ。」



 ナギの双丘に手を伸ばして揉み扱くと可愛い声とともに止められた。



「あぁ…ダメぇ。修斗………止まんないもん」


「愛してる。俺、ナギが欲しいよ。」




 ナギの手を掴み固くなった俺自身に触れさせる。



「もっ、バカっ❤………そんなになっちゃってたらダメって言えないじゃん。」



 後半は聞こえないくら位の小さな声になってた。




「いいの?」






「い、一回だけだからね。」



「うんうん❤」







 ナギ甘いよ。



 一回で終わるわけ無いじゃん。

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