第33話 駅
文化祭の振替休日あけ、俺はナギが何時に来ても会えるように早朝から駅に張り付いて待っている。
こんなに朝早いのはバスケ部のレギュラーの時以来だ。
3年生になってからは試合に出ることがなくなり、当然バスケ部の朝練はなし、一応在籍はしているが事実上の引退になっている。
朝練がなくなってからはナギと駅で待ち合わせして一緒に登校するぷちデートする。
生徒が少ない時は手を繋いだり、抱きしめたり、キスしたり…下校するときももちろん一緒に帰っていた。
だけど文化祭最終日のあの日、何も言わず一人で帰ってしまった。
どうしよう。ナギ、きっと泣いているよな。
………もしかしたら、怒っているかも………
『修斗の浮気者っ!! バカバカ大っ嫌いだーー!!』
浮気なんてしてないよ!俺はナギ一筋だよーーーーーっ!!
ナギの家を知らないから、電話やLIMEの返事を待つしかなかったんだよ………
『あの時 すぐに追いかけてきてくれなかったってことは修斗にとって、俺はもう必要ない人間なんだな。』
いやいやいや!! ナギはこんなことは言わない。
言うとしたら………
瞳いっぱいに涙を浮かべて無理に笑いながら
『王様と恋人になちゃったから………俺達もう…ダメだね。バイバイ、修斗…大好きだったよ。』
「うわーーっ!嫌だー!!」
「しゅ、修斗?!」
はっ!
目の前に心配そうに俺を見上げているナギがいる。
「っ………ナ、ナギーーーーっ!!」
「わぁっ」
思いっきりナギに抱きついた。
「ナギ良かった。もう会えないかと思った。ナギ愛し…むぐっ!」
「何言おうとしてんの?!ここ駅だよっ!!」
俺の口を押さえて怒っているナギの顔は真っ赤になっている。
「ごめん…」
「も、学校行こ。」
俺の手を引っ張って学校へ向かって歩き出した。
俺も早くから駅で待っていたけど、ナギもいつもに比べたら随分早く来ていた。
こんなに早いと通学路の人影はないと言っていいくらい少ないから、駅からずっと手を繋いだままで歩いている。
「あのさ、ナギ…」
この2日間、電話に出なかったこと、ラインが既読にならなかったことを聞きたかった。
それに新しい王様とはあの日 初めてあったこととか、自分が好きなのはナギだけだとか、とにかく話したいことがいっぱいだった。
「話 誰にも聞かれたくないから生徒会室で話そうよ。」
俺は大人しくナギの提案に従うことにして生徒会室に急いで向かった。
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