第14話 レアメダル
その男は大きな声で勝利宣言をした。
150枚もあるメダルの中からアタリを見つけたらしい。
開始たった5分で王様が決まってしまい、周りの生徒の動きは全て止まった。
ショックで拾ったメダルを手から落とす者もいる。
体格の良いその男からメダルを取れるような強い者はおらず、みんなただ見守るだけ……
彼には兄弟か親戚に子供がいてレアメダルの知識があったのだろう。
静まり返る中、得意気にメダルをみんなに見せびらかす手の中のメダルは キラキラとホログラムのシールが貼られ光っている。
メダルを撒き終えたドローンが戻ってくるのと同時に彼はゴールした。
「2-3
副会長にそう告げてメダルを得意げに渡すと、宍戸 漣は後ろに振り向き親指を上に立てて、みんなに勝利のサインを出してアピールしている。
生徒会書記がクラスと名前をチェックして合図する。
パソコンに繋がれたスキャンに副会長がメダルのバーコードをかざした。
『ブッブーーーッ!!』
とてもアタリとは思えない音声が流れた。
「はぁーい、残念でしたぁー。」
でかでかと生徒会長の明るい声がマイクを通してみんなの耳に届く。
宍戸 漣は大口を開けて呆然としている。
周りの諦めていた生徒もポカーンとした。
ハッと我に返った宍戸 漣は副会長に詰め寄った。
「なんでっ!!どうして?!これレアメダルだろっ!!」
「元々はレアメダルかもしれないけど生徒会が登録したのはこれじゃありません。」
「なんだそれはあああ???」
「皆さ~ん、チェックまであと25分だよ~。早く持って来ないと時間切れだよ~~。」
生徒会長の声にさっきまで諦めていた生徒たちは、慌てて一斉にメダルを拾い吟味しだした。
一番乗りでチェックをした宍戸 漣はがっくりと肩を落として彼のクラウンゲームはあっという間に終わった。
その他の生徒たちは、これだと思うメダルを持ってゴールへ走っていく。
ほどなくしてスキャンするための長い列が出来て『ブッブーーーッ!!』というブザーが絶え間なく鳴り続けている。
「修斗、どこにいるのかな?メダルはもう拾えたかな?」
きょろきょろと修斗を探しながら歩いていると……
ガリッ!
足に違和感と変な音がした。
そっと足をどかすと、その下からは1枚のメダルが地面にめり込んでいた。
「あっ……割れちゃったかな?!」
おもちゃのプラスチックメダルを慌ててて拾い上げ汚れを叩く。
良かった割れていない。
でも、汚れが落ちないや、思いっきり踏んずけたからなぁ。
……うん、バーコードは読めそうだ。
メダルの中央には楕円形の顔をした可愛い白い妖怪の絵が描いてある。
ホログラムでもないし、その上、汚れているメダルなんかきっと誰も拾ってくれないだろう。
汚したのは俺だしな。
「ごめんな。お前は俺がゴールに連れていってやるから。」
一人メダルに向かって呟くと握りしめてゴールへと向かった。
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