第13話 GET?



シーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン


あれだけ私語で騒がしかった校庭が、時間が止まったかのように静かになった。


みんな素晴らしい王冠の写真が出てくると思っていたら、そこには不恰好でいびつに歪んでいる不思議な金色のオブジェが置いてある。


一人の生徒が口火を切ると次々と生徒達がオブジェについて詮索を始めた。


「あれなんだろ? 」


「なにかな?」


「もしかして!王冠!?」


「まさか!嘘でしょう!!」


ざわつく会場に、耳まで赤くなる副会長 ←(美術1)


「あはははははははっ!」


笑い転げる生徒会長の頭をぱぐっと副会長が殴りつけた。


「いでででででで!」


「お前が手作りにしろと言ったんだろう!!(怒)」


「だって去年の王様も手作りだったじゃん❤今年もちゃんと王様の手作りじゃないとね……くくっ」


「ぐっ………あとで覚えていろよ。」


副生徒会長は悔しそうにマイクを握って再び話し出した。


「今年からは王冠は探しません。代わりにこの王冠をかけて、このおもちゃのメダルを30分以内に拾って来て受付でチェックしてもらいます。」


直径5センチほどのプラスチックのメダルを手にして高々とみんなに見せた。


だが、生徒たちの関心はメダルではなく…………


「やっぱりあれ王冠だったんだ。」


と、そんな驚きの声があちこちから聞こえてくる。


生徒会副会長は更に顔を赤くして屈辱に耐えながら言葉を続けた。


「メ……メダルは人数分の150枚しかありません。一人一枚です。メダルの裏にあるバーコードを読み込みます。名前とメダルをチェックするので二枚持ってきた人はたとえ王様でも失格とします。」


「んで、メダルは生徒会長の俺様が操作するこのドローンで空からバラ撒くから、みんな頑張って拾ってくるんだぞ!」


「それではクラウンゲームの開始です。レディー? ゴー!! 」


ブウウウンと唸り声を上げてメダルの入った籠をぶら下げたドローンが飛び立った。


2年生達は一斉にドローンを追ってドタドタ走り出す。


その姿はまるで超団体のヒヨコが親鳥を追いかけるように見える。


「追っかけてもメダルは人数分しかないから意味ないと思うんだけどな。」


「面白―い❤あはははははははっ」


「ま、生徒会長が楽しそうだからいいか」


ドローンは、地面すれすれの低空飛行をしたかと思えば、ぐるぐると旋回したりと器用にトリッキーな動きをして皆を翻弄している。


「そろそろ良いだろう。スイッチ押してくれ。」


「おっけぇー❤」


ぐるぐると旋回しているドローンの下から、カチリと音がして籠が傾いた。


ザラザラとメダルが雨のように降り始め、真下にいた生徒達は直撃をくらって痛い痛いと騒いでいる。


参加者達は次々とメダルを手に取るが、どれもこれもアタリに見えたり、ハズレにも見えるようで、どのメダルにしようか迷っている。


その中で一際体格の良い男子生徒が人を押し退け凄い勢いでメダルを漁っている。


その態度は目に余るものがあったので副会長がマイクを取り注意をしようとしたその時だった。


「よっしゃあ!!レアメダルGETぉ!!アタリを見つけたぞぉーーー!!! 」


「えっ…嘘…」



俺、一度もメダルを触ってないのに………終わっちゃったの?



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