第10話 文化祭最終日
今日は文化祭最終日
昨日、担任にコインケースを預けて交代要員が来なかったことを伝えたおかげで、交代要員たち三人と田中七海が担任に締め上げられた。
交代要員たちは 田中七海にはめられたとか色々先生に言って罰を逃れようとしていたが、時間になっても店に来なかったのは事実なので、三人の言い分は通らなかった。
罰として四人はクラウンゲームの参加資格を取り消されることになった。
昨日、大変だった俺達三人は店に立たなくていいと言われ、今日一日遊び放題だ。
だけど昨日と違い今日は一般公開…人が3倍位もいるんだよ。
もう兎に角人が多くて出店に並ぶのも一苦労だ。
そう言えば今日は修斗に一度も会っていないな。
鈴木たちと一緒に修斗のいるバスケ部を覗いてみると、もー黒山の人だかりで高いとは言えない身長の俺には何をしているか全く見えないよ。
出し物は確か、フリースローの回数で景品を貰えるようなことを修斗に聞いていたが……
修斗の人気ってこんなに凄いの??
それとも景品が凄く豪華なのか???
これはどう考えても……
「無理!! 絶対無理だよ、コレ!!」
俺は心の声がそのまま口から出た。
余りにも長い列で並んでいるだけで体力が削られそう……並ぶ気も失せる。
体力を温存しないと、だって今日は待ちに待った「クラウンゲーム」の日なんだから。
「言えてる。後夜祭に体力を取っておこうぜ。」
「ああ、そうだな、やめておこう。」
鈴木と佐藤も俺の意見に同意して、くるりと踵を返しバスケ部を後にする。
ニコッと笑って佐藤が聞いてきた。
「そう言えば、ナギ 王様になったら願い事は何にするんだ?」
「えっ!? 俺?俺はまだ決めてないよ。鈴木と佐藤はもう決めてんの?」
俺の言葉に喰い気味に鈴木が得意気になって大きな声で話しだした。
「そりゃあ、決めてるよ。俺は各クラスから一番可愛い女の子を一人ずつ選んで日替わりデートするだろ。そしてほっぺにキスしてもらうだろ。あとは……」
「はいはい、鈴木は下心全開だな。お前、女子に嫌われちゃうぞ。」
呆れ気味の佐藤に途中で話を遮られた。
「いーの!一度でいいから王様のハーレムみたいなの体験したいんだよ。」
「佐藤は?」
「ネズミの国のパークチケットとホテル代と交通費をペアで頼む。」
「!」
俺と鈴木は固まった。
「ペア?? まさかお前」
「Vッ!!(^o^)v」
「こんにゃろー!! 」
「わははは❤妬くな妬くな!君らにもいつか彼女が出来るよ。」
勝ち誇ったような佐藤に、鈴木が腕を掴んでガクガクと揺すってわめく。
「ズルイ、ズルイ!!なんで佐藤だけ彼女がいるんだよぉ!!俺にも可愛い女の子を紹介しろーーーーーッッ!! 」
鈴木は人目もはばからず、今度は地団太を踏んで悔しがっている。
恋人か……いいな。
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