第3話 初級モンスター倒すよ!

「ミズー!!!こっちこっち!」

「えぇ、見えないよー!」


クエストを受けようとダンジョン受付に行こうとするが、身長の高い男が何十人もいて慣れていないと、女の子にはダンジョン受付すら厳しい世界らしい。

なんとかしてこの暑苦しい集団から抜けようとするがやっぱり埋もれてしまう。

私の身長は155cmで、周辺の男は身長が180cmはある。


絶対にアバター操作してんだろ!

本当の姿はそんな高くないくせによ。

なんて野郎達だ!私も身長大きくすれば良かった……


実は身長など顔のパーツを変えれる機能もあったが美紅が待っているという事ですぐに合流するために、その機能を無視して来たのである。

なんとかして男の群れからくぐり抜けると、そこにとっても美人な受付係がいた。

その女の人はNPCに見えるが頭の上にはユーザー名が書かれていた。


ユーザーか……


と思い喋る気が失せた。

なぜなら何度も言うがコミ障だからだ!

NPCなら話せるのになー


と思いながらもミズは覚悟を決め、話しかけようとするが受付よりだいぶ遠くにいたミクがミズに話しかける。


「もう受付終わったよー!こっち来て!ダンジョンの入口だよ!」

「え?」



今までの努力はなんなんだよー!!!!

暑苦しい男に囲まれ、コミ障なのに頑張って話そうとしたら、受付終わってただと?

許されるのか?

しかも……また暑苦しい男の群れに入らないと行けないじゃないか!!!

今日はついてないな……


こうして2度目の男の群れに突撃し、10分で攻略した。

たまたま左上に書かれている時間に目を通すと時はすでに5時40分になっていた。



いや、ここまで何があったんじゃい!

普通のゲームならもうチュートリアル終わってるよ!

1時間以上無駄話で終わった……


「ミズー!!聞いてる?」

「あっ!ごめんごめん、でどこがダンジョンの入口なの?」


すぐに思考を切り替え、ミクにダンジョンの入口について聞く。

ミクが指をさした場所はとてもダンジョンの入口とは思えない、例えで言えば動物園の入口にクリスマスの装飾がされた感じだ。

個性ありすぎ……

愚痴を心の中で言いながらもダンジョンの中に入るとダンジョンの中は至って普通であった。

ダンジョンの中は最初は狭く、左右に松明が並べられている。

私はふとここがどのレベル帯でどうクリアするのかミクに聞いた。


「ここってどんぐらいの強さなの?」

「うーん、レベル5くらいかな。私がいるから大丈夫だよー。一撃だけでも魔物に攻撃加えるだけで経験値は半分に分けられるからすぐにレベルは上がると思うよ!」

「ふーん。そういう感じなんだー、このダンジョンは何をしたらクリアになるの?」

「レベル5のダンジョンだから……レベル8位のボスが最終面で出てくるからそのボスを倒せばダンジョンの外に出れて、レベル5刻みで次の街に行けたりできるよ!」

「って事はここクリアしたらもう次の街に行けるんだ。強い人と一緒にいるのは心強いね!」


だいたい予想していたダンジョンの設定と同じであり、他の情報も次々と話してくれた。

そんな中、ダンジョンの中は急に広い部屋となり、魔物みたいな声が聞こえる。



えっ、敵か……

うわっ、声キッモ!

どんな魔物なんだろ……もう100万回の搭みたいなキモイ魔物はやだよ……


暗い影から少しずつ見えてくる体型、その体型はスライムの様な丸い形をしていた。

ミズは変形する敵、他の影の反射のせいで良く見えていない、もしくはフェイクなどのスキルと色々勘ぐったが、結果は

……

……

……

スライムだった。


「えっ?これが敵?」

「うん」

「めっちゃ雑魚そうやん!」


ミズは調子乗り一気に自分の持っている初期武器で一振する。

だが、そのスライムは切れずにミズの頭に乗っかる。

乗っかったスライムはまた魔物の様な声を出す。


「うぎゃ、ぎゃぎや!ざぁーじゃー!」


ミズは剣を投げ、ひたすら頭を振り回したり、手でスライムを退けようとするが魔物はビクともしない。

ミズはミクに助けを呼ぶ。

すると、ミクは笑いながら話してくる。


「ミズ、そいつ、吸収スライムだよ?」

「なんそれ?」

「いやいや!初心者達はだいたい知らないと思うけど、ミズなら知ってるでしょ!体力。くっついて奪うスライム」



なんだそりゃ!

こいつ声がキモイだけじゃなくて技もド変態だな。


「どかすにはどうすればいいの?」

「1回くっついたら死ぬまで外れないらしいよー」

「えっ?」


ミズは絶望し、左上のHPを見ると緑のゲージが半分になっており、体力数が1000から540になっている。

スライムのレベルはレベル5、このスピードの吸収なら納得は行く。


「ミク?魔法使える?」

「いちよう、使えるけど……どうするの?これリタイアした方が良くない?」

「いや、しなくて大丈夫!私の頭に使える魔法で1番火力の低い魔法を打って!」


このダンジョンを攻略出来ない人いる理由が理解できた。

職業を選べる所から、近距離、遠距離、錬金術、魔法使い以外の役職を選んだ人でパーティーにも今言った役職が無ければ魔法攻撃は使えない。

まぁこのゲームだと最初は近距離も使えないけど。

でも、ミクなら魔法攻撃が使える。

レベルが72もあるんだから!


簡単に説明するとこういう事だ。

だいたいゲームにおいて味方も敵も弱点がある。属性であったり、スキルの弱点だってある。

スライムは物理攻撃がどのゲームでも効かないこれは定番である、だが一つだけ効く攻撃がある。

それは誰もが知っている魔法攻撃であり、同じくらいのレベルのスライムなら炎や闇や光の燃焼系などの技が有効だが、レベル差が大きければそんなのは関係ない。


つまり、ミクがなんの技でもいいから魔法を使えば敵を倒せる。

しかも物理攻撃はスライムに与えるダメージは0だが、攻撃をした事にはなる。

つまり、経験値も稼げる。

このゲームがこういった経緯で作られたかは定かではないがこれが合理的な戦略だ!

私は戦わなくて済むしね!


そうしてミクは近距離の職業を選んでいるが、最近覚えた魔法攻撃を使う。


「ミズ!行くよ!頭気をつけてね、炎靁紅ボルグファルス!」


ただ炎がスライムに向かって行くだけの火炎放射かえんほうしゃの名前をカッコよくした版だが、その攻撃のおかげでスライムを無事倒す事に成功する。

こうしてミズとミクはこの戦略で攻略を進めていくのであった。



まさかとは思うけどボスもスライムじゃないよね?





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