03-02 絶戦

 ニトの刃が走る。


 銃声がとどろくなか閃光の如き鮮血を散らすのは、ニトの右手と左手に備わった双子の刃。

 雑魚を蹴散らし辿りついた先は、醜悪な雄叫びをあげるだった。


 強化手術で筋力は常人の百倍、それに見合った得物はねじれた鉄パイプの先に縛られた巨大な鉄塊。

 ニトは自身の頭を正確に狙ってくる凶器ぶきを寸前でわす。

 天を地に、地を天にしながら獣の正中線の急所に蹴りを入れる。寸分たがわず。


 だが、それでも獣は止まらない。おそらくヤバいドラッグをキメているのだろう。痛覚は麻痺し、精神は異様な興奮状態にあるはずだ。


 人知を超えた勢いで振り回される鉄塊を潜り抜け、ニトは双刃を獣の心臓と首筋に突き刺した。


「…………」


 さらにそれをねじる。捻り込む。


「…………」


 鉄塊がニトを襲う。ニトは刃を引き抜き、獣の背後に着地した。


「……あああ、ああ、あ」


 獣、いな、気が狂った人間は断末魔とともに死んだ。

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