02-03 明晰夢
無数の銃口が
「はあっ!」
リクが飛び起きた。その心臓は高鳴り、呼吸は乱れている。それはリクにとっての日常。しかし、その日常はリクの精神を徐々に侵食し腐敗させつつあった。
「…………」
誰にも言ってない秘密を抱え、リクは出勤する。
△▼△▼
「明晰夢って知ってる?」
「知ってるわよ。夢の中で自由に動けるってやつでしょ」
「ほぼ正解。でもね、明晰夢にはひとつだけ欠点がある」
「ん? 自由に動けるのに?」
リクは職場の扉の前で、ニトとアヤの会話を立ち聞きしていた。
「自由に動けるし、自由に操作できるよ。世界全体をね。ただ、結末だけは変えられないんだ」
「……?」
「何もかも
「でもそれって、明晰夢の意味がないわよね? 不自由ってことだから」
「あのさ。夢を最後まで見たこと、ある?」
「……?」
「例えるとエンドロールまで。見たことないよね」
「確かに。中途半端に途切れちゃう」
「そうそう。途中で終わるんだよ、夢は。でもね、途中で終わらない夢があったとしたら?」
「……?」
「最後まで終わらない夢。それはおそらく」
リクはドアを全力で跳ね開いた。
「うわっ!」
「なに!?」
自称探偵事務所の半壊した扉をくぐり、リクがしゃべる。
「よお。機嫌が悪くてな」
「あ、リク。全然平気だよ」
「またお金が……」
仲間たちは今なお平常心を保っている。その状況にリクはいらつき、
「次の仕事はなんだ。ボケども」
と言った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます