第11話

『ねえねえ、ねえってば!、アキラ聞いてるなら!!、いい加減に返事してくれないなら私だって怒るからねッ!、アキラ~~~アキラ・アキラ・アキラ~~~!!!!??、もう知らないからねッ!』


「姫のお怒りはごもっともでございます!、が・だ・俺言ったよな!!、道端で俺の名前CM するなって、何回目だ!!」


『ア~え~ッと・・・何?!』


「俺の姫様は約束もお忘れですか?!、それなら少しお仕置きが必要かと・・・!!(笑)」


『えっ!!、待って待って?、約束・約束・・・あッア~~~何?!・・・だっけ??!(笑)』


「はい!、やっぱり忘れてる、しばらくペナルティが必要だな!!」

後ろ向きで笑いながら話す


『ペナ・ル・ティ・・・そんなのイラ・ナイよッ?!、アキラが返事しないから悪い!!、私はアキラと一緒が良い、だからペナルティ~要らな~い!!、アキラが居れば何もいらな~~~い!らねッ!!(満面の笑顔)』


そう言いながら俺の腕にしがみつき俺を見る


「望美!!?」

呆れて頭が項垂れる

最初から勝負はついていた


それなのにいつも俺は

望美が困る言葉を口にする!


理由なんか解ってる

望美が困って誤魔化す笑顔を

俺が見たいから


望美の笑顔は俺の言葉全てを

無視する様に消してしまう


この笑顔は俺だけが知ってる

望美の笑顔・全てを・俺だけの笑顔に・・・・・


ワガママ・・・だよなッ・・・


考えてるソバから望美はもう違う方向へ話しをそらす


『アキラ、今日はどこ行こうか?、私はいっぱい海岸を二人で歩きたい、ねッ!アキラいいでしょ~(笑顔)』


「海岸・ねッ・・・だったら電車2駅だな、行くなら少し早く歩け!!」


そう俺達のデートはいつもこんな感じで決まる


お互いの他(ホカ)は何でも良かった

ふたり腕を絡ませ手を繋ぐ


周りの景色も関係無い

ただふたりで他愛ない言葉を交わしながらブラブラ歩く


歩く歩幅を望美に合わせて

のんびりと・・・ただソレだけ


歩幅の分だけ時間が進む

進んだ時間に合わせて

景色が変わる


時に真っ赤な夕日を見て

『綺麗だね~(満面の笑)』

そう話す望美を見て

俺も笑顔に成る


その笑顔・俺以外の誰にも渡したく無い・・・・のに・・・


望美の笑顔のすべてを

俺だけの為に・・・・奪い取ってしまいたい!!!!


俺は自己中に望美に沢山の笑顔をもらってるのに


未々欲しいと思ってしまう


でも俺は望美に何をあげられるのだろうか?


そう考えると何もあげられずにいる自分が情けなく思える


そんな事を考えてる俺を見て望美が言う

『アキラ、またボーッとしてた、私の話し聞いてなかったでしょ!!』


俺はその言葉を放つ望美のスネタ顔が可愛いくて


照れ笑い隠す為・顔を反らし

誤魔化す方法を考える

だが本当はそんなの必要無いんだ


望美の言葉に笑顔で返せば良い

解っていても・・・・


何かハカリゴトを考える


特別な物は何も必要無い

ただ・ふたり・で・・・いつも通りに


腕を絡ませ手を繋ぐ

ただ・・・それだけで良い・ハズなのに・・・ダメなんだ!!


それが俺が望美に求める全て


1番の贅沢なんだと思い知る


必要だったのは・・・・・・

ただひとつ・・・・


ふたり手を繋ぎ歩く為の時間をほんの少しで良いから


止めてほしい



だから俺は願ったんだ


俺達ふたりが歩み続ける時間を未来永劫・俺に下さいと


とんでもない

贅沢な願いだと知りつつも

俺にはそれしか思いつかなくて


夢の中でも良い

俺は望美の笑顔を見ながら

永遠の夢の中・・・でも・・・いいから・・・・!!!!


その時間をくれるなら神でも悪魔でも・・・・何でもいい


俺の願いの・・・代償は俺の命


願ったけど・・・・・俺は自分の身体の異変に気づいてた


だてに医者の家に産まれたんじゃないから


自分の身体の異変・・・頭が割れるような痛み


軽いが左手のシビレ

両足の脈打つ痛み


俺ってズルイ・命の限界を知りながら願うなんて・・・マジ・ズルい・よなッ!!


こんなんじゃ誰も俺の願いなんか聞いてくれないだろな(苦笑)


ズルくてワガママで望美だけを求めてる・・・・・・


だから未来で望美に出逢えるなんてワガママは無理・・・だよなッ!


もう一度ふたり一緒に手を繋ぎ歩きたい・・・ただそれだけ・・・・なんだ!!!!


何も出来ないから最後のアガキ


命の行方なんかどこでもいい

ドナーカード承諾書だけ書いた


後は俺の内臓で助かる誰かが居ればそれでいい


俺の臓器提供を受け入れ

生き続けてくれる誰かが居るなら



俺は未来へ行けるだろか・・・


1番簡単で合理的だった・・・から・・・かな・・・・・


俺の命の代償

永遠の夢でも良いから・・・・


俺は望美の笑顔を見て・いたい・それ・だけで・・・・・・


悪い取引でも無いと思うけどなッ!


タイムリミットは・・・・・・直ぐソコ・・・・




だから・・だれ・か・に・・・願いを・・・託す・・・・


ーー!?ーー?!ーー!!ーー



・・・・・うッ・・・あッ・・嫌・だ~~~・~・~・~・~


香『アキラ!!(身体を揺らし)、アキラ起きなさい!、目ッ覚・まして!!、アキラ・アキ・ラ・・・・起きて!!!!!』


・・・ハア・・ハア・・ハアーーヴッ・ハァ~~~布団かきあげ!!


・・・・ハア・ハアッ!!??


香『アキラ?大丈夫?!、冬の寒空に汗かきながらウナサレてた・けど・・、又いつもの夢・見てたの??!、アキラ!!、私の事解るわよね?!!』



「姉・さん・・俺何か・・いッ言ってた・・・??!」


香『うん、よく解らなかったけど・・・何か意味不明な事は言ってた、それより汗・凄いよシャツ着替えなさい、濡れタオル持ってくるから待ってて!』


「ゴメン姉さん・・・」


今の夢?一体・・・・・何の夢だよ!!


望美って誰だ?!!


あの男は俺か?

どうなってんだ!!??

ただの・・・夢・ないのか?!


凄くリアルだった・・・・!

あの男(アキラ)は・俺の何?!!


ーーー?ーー?ーー昔から時々見る意味の解らない夢??!




それより今の現状は


家族全員で台風から避難中


台風の速度が遅く長く上空に停滞している!


小学校の校庭に止めたキャンピングカーの中で


すでに3日目の夜を向かえていた


ライフラインも途絶え当然電気やガスも途切れた状態だ


唯一水道だけは難を紛れた水が有るだけでもマシだと話していた


飲み水には出来ないがトイレの水が流れる

それだけでも有難いと皆が話すのを聞いた


確かにそう思うトイレの確保や洗い物等は出来る


飲み水や料理に使う水は

水道水を煮沸してろ過すれが出来るが

それだと燃料が足りなく成る


各町内会でペットボトルの水は沢山保管されている

料理には水道水を煮沸してから材料を入れる


飲み水はペットボトルを使うが

本当に孤立状態が続けは

物資不足は免れない!!


今の現状で各自家庭に戻ってもどうにも成らないのは覚悟していたが・・・・・


避難している人達の中には専用の薬を飲まなければ生けない人達もいる


ここには医師や看護師と言う専門職の人は居ない


姉さんが剛兄さん(旦那)が居てくれたら良かったのにってボヤいてたが


無理なのも解るから冗談混じりでしか話さない


父さんが体育館に居る人達の心のケアを心配していた


まだ9月の終わりとは言え夜は寒く体調を崩す人達も出るだろから・・・・・


医師や看護師等の専門職の人が居ると居ないでは状況も違う


台風は収まりつつ有るが

風が時折大きくウナル

まだ雨の被害は続いていた


元々この辺は地形がくぼみの様に成っていて

周りは山で囲まれた地形だから


豪雨になると中々水がひかない

だから町が水没しやすい


今まで何度も水没しているから

どの家も出来るだけ土台が高く作られている


家も坂道の途中に有るが土台は本当にしっかり作られている

全て昔の人達の知恵と言える


だから母さんは避難具集めが趣味みたいに成ってしまったが

でも家だけじゃない!!


どの家も同じだ!!

後小学校は高台に有り


避難所として作られてているから町内会で集めたお金で


沢山の非常用具を小学校の一角に集められている


昼間父さん達町内会の役員の人達が何人かで

家の周辺を見に帰ったが・・・


とてもじゃないが人が住める状態では無いと話していた


完全に水没状態の家が沢山有り

まるで溜め池のようだと話していた・・・・・


家も一階は水没していたらしい・・・他人事では無い・・・


先行きの不安で皆が肩を落としタメ息や涙する人達もいると言っていた・・・・・!!


だが今回の台風は今までとは違う!!

いくらなんでもココまで酷いのは初めての体験だ!!


母さんと姉さんは地域の人達と一緒に炊き出しやその他手助けの為に働き続けてる


父さんも同様・町内会や他の家長の人達と今後の相談や

救援物資の確保の為に必死のようだ


俺は母さんや姉さんが体育館に避難し

個人的に具合が悪く成った人達をココヘ招いて来るから


そんな人の話し相手をしている

来た人達も坦々と話しをして


少し落ち着いたと言って

体育館へ戻って行く


いつの間にか自主的にココヘやってくる人もいる


俺に出来る事は限られているがそれでも何もしないよりは良い!!


だが俺と話しをして皆の気持ちを少しでも和(ヤワ)らげてあげる事ができているのかは


まったく解らない??!


姉さんにそう話したら

『アキラはいつも相手の話しを聞いてから話しをするでしょ、そして相手に返す言葉は短かくて、それに声のトーンは優しい響きがするんだよ!、だから相手が安心するんじゃないかな~~~』ッと言って笑うけど


「俺が優しい?、そんな事初めて聞いた?!、姉さん俺の事そんな風に思ってたの?!!」


香『アキラらしいわ、やっぱり気付いて無いってか(笑)、私はいつも愚痴こぼしてるでしょ、私はアキラの言葉に励まされてる、昔からアキラの笑顔が1番の癒しなんだけどな~~~(笑)』


彰「えッえ~~~ウソッ!マジで!!?」


そんな会話を昨夜したからか

その言葉が無性に気に成った


どこか懐かしくて・とても暖く・でも遠い・凄く遠い・昔・なのか?・・・でも・確かにに・誰かが・・・居た!!??


その時だった


女性『すいません、ここって』


彰「あッはい何かご用ですか・・・・??!」


見知らぬ女性が

『実は私〇〇村から来ました、向こうは避難所も避難する対象に成ってしまって、何とか皆で途中まで一緒に来たのですが、2・3避難所を回ったのですが・・どこもいっぱで・・・皆さんの体力も限界で・・途中・(涙目・・泣かないで!俺がいるから・・・!!(誰!))・・・雨をしのげる場所を見つけて待機している状態です、私ッ・私は受け入れてくれる避難所を探しに・・・《涙?なぜ?!!》来ま・した・・・?!、あッあの・・・・・・』


彰「大変じゃないですか、ここなら大丈夫です、だから泣かないで・あッゴメンなさい!、体育館に入って直ぐの所にここを管理してる人が・・・?!」


二人同じに

「どこかで・・・逢い・ましたかッ?・・・・??!!」

 

彰「しッ失礼しました、初めて会った人にブシツケな質問を、許して下さい(汗)」


女性は少し微笑み

『私の方こそすいません、泣いてしまって、体育館ですね?、行ってみます、ありがとうございました!!』


彼女俺を見ても驚かなかった!!


初対面の人はこの身体見て

話しを詰まらせる事が多いんだけどな??


でも・アノ涙は・・知ってる!

何バカな事考えてんだ!!


そんな事考えてたからか

小さな子供がの目の前に立っていた事に気付かなかった!?


この子・近所にいたっけ?

軽い挨拶程度の人達でも

ご近所さん達は把握してるけど


この子は・・・初めて見る?!

もしかしたら

彼女達と一緒に・・・?!


そう考えるのが1番理にかなってはいるが・・・・・??!


ジーッと俺の顔を見て何も話そうとしない?


だから俺から自己紹介

彰「お兄さんの名前は、アキラ、よろしくね(笑顔)」


?『・ア・キ・ラ・・見つけた!!、やっと願い・・・から・・・(笑顔)』


彰「えッ?!・・・今何か言った?!、ねえ君?!」


なぜか!?その子が呼んだ俺の名は・・・凄く懐かしくて

温かい響きがした


彰「君の名前教えて下さい」

すると子供は一言だけ呟くように


?『あっち→→→』

えっ👀?!指差した方向は

先程の女性が向かった体育館


俺がその方向へ目を向け

再び目の前を向くと


不思議な事に目の前に居た子供の姿は何処にも無い!!


俺は訳が解らず当たりを見回したがやはり子供は居ない!?


はまるで瞬時に消えたかの様に影も形も無かった??!


暫くして姉さんが先程の女性と一緒に体育館から出て来た


二人の後に連なる様に5・6人の男性達も慌てて出て来て

何かを始めた?!!


すると姉さんがあわてた様子で走ってきた『アキラ!!』


彰「姉さん何か有ったの?」

先程の女性も一緒だ?!


香『キャンピングカーを臨時の診療所にするから、アキラはキャンピングカーの中、掃除して!!』


「臨時診療所、医師が居たの?!」


すると姉さんは彼女を見て

香『彼女は研修医なんだって、だから彼女にお願いしたの、電気使えるの家だけだし、医療用道具も一通り後薬も色々、〇〇町の〇〇病院から持ち出して来たらしいけど、避難してきた人達の所に置いて来たって事で、今から皆なで避難している人達を迎えに行く、1時間程掛かる場所で皆待ってるから、私も一緒に行く、アキラは掃除お願い!!』


彰「あッはい、解った!!」


体育館から又々男性達が5・6人が避難してる人達を

救助に向かったようだ


その後から女性達が何人かこちらへ向かって来る

〇▲『アキラくん、おばさん達で掃除させてもらうわ~』


すると姉さんが

香『皆さんありがとうございます、でもアキラ暇ですからひとりでも大丈夫ですよ、休める時は休んで下さいねッ!!!!』


〇▲『やらせて欲しいの、アキラ君にはいつも愚痴聞いてもらってるし、だから手伝わせて(笑)』


香『・・・・解りました、でもアキラを甘やかすのはダメですからね、アキラ暇人ですから~~(苦笑いで何故か後ろ手に拳)』


なぜだろう・・・姉さんの拳が今目の前に・見なかった事にしよう~~~


彰「あッ!、皆さんありがとうございま~す、では一緒にかたずけましょう~~(苦痛の拳が)・(怖い)」


彼女『先程はありがとうございました、よろしくお願いします(笑顔)』


二人同時に・・・・・

「やはり・・・何処かで?!」


姉『何?、アキラと彼女と知りあいなの?!、でも話しは後でね、急ごう、日が暮れると大変だから!!』


彼女『あッ、はい!、ではお願いします』


姉『行って来るからね、ちゃんと・じ・ぶ・ん・で・かたずけろ!!』


「はい!!行ってらっしゃ~いッ」マジ怖い姉です!!!

Σ( ̄□ ̄;)


・・・・往復2時間・・・・・

そろそろ日が暮れる・・・・・



ーーー→→→続くって事で!!

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