第6話[望美]

朝→目が覚めた→今日は日曜日

身支度を済ませおしゃれをする


アキラに高校の入学祝いにプレゼントされたポーチ


ソノ中に入っているのは

アキラが似合うと言ってくれた

髪飾り


今日はコレを着けてアキラの所へ

綺麗に髪をとかし髪飾りを着けた


「うん!、コレでバッチリ、アキラが言ってくれる・はず・なんだ・・・」


「言葉は届いてる、ただアキラは長い眠りの中にいるだけ・だよね・・・」


そう言いながら・・・・・

絶対に大丈夫だと念をおす


私は神様にも

他の何かにもお願いなんかしない!!


アキラだけを信じてる!!


私達ふたりで

・決めた覚悟

・未来の約束

絶対何が有っても

いつも一緒に居る


決めたのは今年の春

高校の入学式の時だった


学校からの帰り道

桜並木を歩きながらアキラが言った


『俺達はふたりで一緒に色々な事を学ぼう、コノ先沢山の壁にぶち当たるだろうけど、全てふたりで考えて、一緒に未来を見よう』


アキラが言った言葉にうなずき

「私も、アキラが居る未来を一緒に歩きたい、アキラと一緒なら・何が有っても・絶対大丈夫な気がする・・・」


『おい!ソコは気がするじゃないだろ、絶対大丈夫なんだよ!!』


アキラは少し照れながら

そう言った


プロポーズ?

なんて言葉じゃないけど

私達の未来が一緒だと信じ・てる・・・・・から


だから神様や他の何かなんて

私達には必要ない


ソレで良いんだよね(笑顔)

アキラ!!


私達の出会いは・決して・・・

偶然なんかじゃなかった


アキラが私の未来なんだ!!

そう信じて良いんだよね(笑)


過去形なんか嫌だから

私達は一緒に未来を見る!!


絶対に絶対に絶対だから・信じてる


一昨日アキラのお母さんから連絡が来た

明日は検査が沢山有るので・・・


私は

「解りました、では日曜日にお邪魔しますね」

なぜだろう?

アキラのお母さんの言葉に

違和感を感じた


コレまでにも何度か同じ様な連絡はもらっていたけど?

何故か何かが違ってた・・・・


昨夜の事父と母が突然

明日アキラの病院へ一緒に行くと言い出した


時間になり母が私を呼びに来た

私は車の後部座席に座る

・・・・・言葉は無く

私は窓の外を眺める


車のスピードが速くなり

ボーッと窓の外を眺めていたら


家からアキラの病院迄

車で約1時間


それでも学校からなら歩いて30分

だから私は毎日学校へ行き

帰りは少し足早に

アキラの病院へ行く


少し車によったのか?

窓の外を眺めていると

不思議なモノが見えてきた?


走馬灯の様に景色が変わる

ソノ景色の中に

可愛い男の子がいた


良く観ると・・・・・

まさかッ・ねッ・・・!!

違う!・よね?・・・・


ふと気付いた??

「お父さん・・・道が違うよ!、お父さんってば!、ここじゃないよ!?」


・・・・・・・ここは?

「ねぇ?、お父さん・・・!!!!」


知らない場所でスピードダウン

駐車場らしき場所で車を停めた


ココどこ???

「お父さんココって・・・・」

その時お母さんが私の腕を引き寄せ抱きしめた・・・・・

「お母さん、ここって・葬儀場・だよね・・・・・」


私の言葉に母は頷き

母は私を振り払いソコに眠っているであろう


愛しい人の元へ急いだ!!


なぜだろう解っていたからか?

不思議な感覚は有るけど


自分でも不思議に思うくらい冷静だ・一粒の涙さえ流れ無い・・・・・


『そうなんだ・・・しばらく会えなくなるんだ、・・・仕方ないよねっ、アキラ!ズルイよ!、眠ったままだよ!、声忘れちゃうよ、次は・い・・つ・会える・・・の・・かな?、約束まだだ・・・よ!ズルイ!!!!』


アキラのお兄さん達が私に歩み寄る

「望美ちゃん・・・、ごめん、昨日脳死判定が下された、アキラは自分でドナーカードを所持していたから、臓器は移植の為に昨日ソノ処置が行われた、望美ちゃん・・本当にごめん。」


私は・・・なぜかその言葉さえ

冷静に受け入れていた

「お兄さん・・・、アキラを生かせてくれて・・・ありがとうございます」


なぜだろう自分でもビックリするくらい自然に言葉が流れ出た


葬儀場へ足を踏み入れた

1番奥で沢山の白い花に囲まれた棺が私の目を止めた


私はゆっくりとアキラが眠る場所へと近付いて行った


一歩一歩また一歩・・・少しずつ・・・本当にゆっくり・・・


足を止めたソノ場所は

真白き花達に囲まれ笑顔で眠る

寝ぼすけが眠ってる


私は・・・・・・

『アキラ・・・ズルイよ、次のデートの約束・・した・よね、キャンセルなんて聞いてないよ、ねぇ・・・約束はいつに成るの!!』


なぜだろ?

アキラが返事をした・・・ような気がした


私は・・・何かを感じた

ソノ瞬間・・・『うん!そうだね、その時までアキラは眠ってて良いよ、私が必ずアキラを見つけるから』


・・・・・普通にいつもの会話をした


アキラのお兄さんが私にいった

「望美ちゃん、コノ2か月間、毎日毎日、彰の病室へ通い続けてくれて、ありがとう、彰も本当に悦んでるはずだよ、私達からお礼を言わせてほしい、本当にありがとう」


「アキラのお兄さん達、お礼を言うのは私です、毎日面会を許して頂きありがとうございました」

そう言いながら頭を下げた


アキラは真白い花園の中

とても・・・とても機嫌が良いのか


笑顔と一緒に・・・空高く舞い上がって行った


次のデートの約束は???

・・・そうだね解った

それまで待ってあげる


でも・・・次・約束破ったら

暫く口聞いてあげないから!!


今回は・それで許してあげる!


アキラ・・・約束だからねッ!


なぜだろう実際問題

私は一粒の涙も流れ出ない


約束・・・したのに!

アキラが気持ち良さそうに

真っ白な大小の花達に囲まれた世界で眠るのを見て


「そうなんだ!それが紛れもなく、今の真実なんだ!!」

素直にそう思えた


アキラが脳死状態になって

約2ヶ月半


アキラのお兄さん達の気持ちも

どれ程家族に大切にされていたのかも分かりすぎて心が痛い


私の兄は約2年前に

友人の喧嘩の巻き添えで他界


私は兄を殺した人達が憎かった

例え少年とはいえ兄の命を奪った


・・・下された判決に納得できず


父の友人の弁護士さんに

判決内容を詳しく聞きに行った


アキラに会ったのは道に迷い

弁護士事務所を探していた

そんな時だった


名前を聞いてビックリした

『俺の名前は、アキラ』


亡くなった兄と同じ名前だった!!

「どうして、ここに・・・?」

口に出してしまいそうだった


結局弁護士に

「どうして晃(アキラ)兄さんは、死んだの!!、ッと叫んだ時に、兄の名と同じだと、アキラに知られえしまった」


その後アキラは何も聞かず

私が宛もなく町中を歩いていたのに・・・・・


ただ・・・黙って私の手を繋ぎ歩いてくれた


アキラに再び声をかけられたのは

辺りが暗くなり町が賑わい


クリスマスムードに変わった時だった


でもアキラは

クリスマスのネオンではなく

空に向けて指先で合図した


夜空が清みきって星が輝き

その中に白い雪が舞っていた


[兄が殺された!!]

私の心は憎しみに捕えられ

周りの出来事も忘れていた


その事に気付かされたと同時に

私はアキラに

自然の美しさと素直な優しさを貰った


アキラ・・・次はいつ逢えるのかな?

私が命を閉じ終焉を迎えたら


遠い・遠い未来・・で・だよね・・・・・


私達は一緒に未来を生きる

そう私に話してくれたのは

アキラ貴方だよ!!


約束・・・だよ

私達は未来で・・・必ず・!!


お通夜・・・一緒に居たかった

でも両親もアキラの家族も

私には何も話してくれなかった


多分両家の配慮だろう事はサッシがつく


私が壊れてしまうかも・・・

そう考えての事なのだろうけど


私なら大丈夫なのに・・・

約束は必ず叶うと信じて

心からそう感じていた


アキラが次の世界で

笑顔で私を待っているのが解るから


アキラ・・・嘘は嫌いだよ!!

デートの約束・・・いつまでも待ってるから


私はアキラを探し続けるから

約束守って・・・よね・ッ!!


それまで私は絶対泣かない!

アキラを探して約束を守ってもらう迄


絶対泣かない・・・・・・


アキラ・・・待っててね(笑顔)


約束だよ!!


→→→→→→→続く~~~


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