第5話
倒れてから1週間
家に戻りまだ外出はしていない
望美とは毎日時間が許す限り
電話を繋げまま話し続けている
俺のやってる事が望美に対して罪だと気付いた今も
卑怯者の俺は望美に本当の事が話せない
・・・・・俺は死ぬ!!
ソコにしかたどり着かないのに
俺の命は約17年たらず
長いのか短いのか?
ソレは俺にも解らない・・・
それでも・・・ただひとつ!
望美に対して誠実ではない
自分のワガママだと言う事は解っているけど・・・・
何も伝えられずに・・・考え込んでしまう
昨夜兄達から俺に話しが有ると
言われた
もしかしたら望美との関係についての話しかも知れない
そろそろはきっきりさせなきゃ・・・ダメなんだろうな
あの時望美に会わなかったら
今コノ空間で思いを巡らす事も無かった・・・だろうが!!
俺も望美と同じ
何不自由無く育った人間だ
母が父の後妻になり生まれたのが俺
父親には亡くなった前妻の子供が二人居る
兄貴達とは10歳以上の年の差が有る
だからってツマハジキにされた事は1度も無い
兄貴達は弟の俺をとても可愛がってくれている
勿論オヤジもだけど
昔まだ俺が小学校へ上がるまえ
兄貴達が俺に向かって同じ言葉を繰り返していた
「彰は我が家に笑顔を運んで来た救世主だよ」
今ならあの言葉の意味も解る
要するに仕事バカのオヤジは
前妻が亡くなった時
日本には居なかったらしい
その事も有り
兄貴達はオヤジを怨んでいた
自分達二人で病院の人達と葬儀もすませたと聞いた
だから
兄貴達とオヤジの関係はギクシャクしていたようだ
兄貴達の母親が亡くなっても
オヤジは研究・研究・と言って家を空ける
ますますオヤジと兄貴達の溝は深まる
そんな時だったらしい
俺の母親との縁談が持ち上がった
その当時
上の兄貴は高校1年生
下の兄貴は中学1年生
下の兄貴はオヤジを許せ無くて
無視を続けていたらしい
そんな中の見合い
兄貴達は新しい母親では無く
使(か)ってが良いお手伝いの様に
思っていたらしい
母親と再婚後も
オヤジは何も変わらず
研究に打ち込んでいたからだ
そんな中で生まれたのが俺
兄貴達は毎日家に帰るのが
楽しい時間に成ったと話してくれた
兄貴達とオヤジの仲は
俺が生まれた事で少しづつ和らいでいったらしい
そのせいか俺は兄貴達に甘やかされ放題で育った
欲しいモノを母親に言っても買ってモラエナイ!!(*T^T)
ソレを兄貴達に話す
すると二人のうちドチラカが買ってくれる
小遣い足らない~~(´;д;`)
充分すぎる小遣いを渡される
勉強も兄貴達が交代で教えてくれた
二人のお陰で全てが楽だった
全てが自由になる生活の中で・・・これが当たり前でない事に気付いたのは・・・
中学に成ってからだった
自分なりになんて世間知らずなのかと恥た出来事が有った
俺の通う学校は小学校から大学迄
成績が落ちなければストレートに進める有名校だ
その分高い授業料に寄付金
俺としては別段気にも止めなかった事だか
ある日の出来事
クラスで窃盗騒ぎが有った
すると誰かが
ひとりのクラスメートを名指しで
「お前だろ!!」決め付けた
そんな騒ぎすら・なぜ??
たかが金の事でそこまで騒ぐのか・・・俺には解らなかった?!
どうやら本当に俺は世間知らずのお坊っちゃんだった
しかも相当な箱入り息子だ
俺が毎日普通だと思っていた日常は普通では無いと知った
学校へ行くのが面倒で嫌だと言えば
玄関先に俺専用の車が用意される
クラスの誰かが金を盗む
俺にはそんな事どうでも良かった・だから騒いでる連中に
「いくら有れば、このバカげた騒ぎは収まる?」
そう聞いた!?
するとソいつが「100万」そう話すので俺はその場で兄貴に電話した
事情説明をしたら
兄貴は俺のクラスの担任に電話して詳しい話しを聞いた
その後警察まで動かした
結局金を盗んだのは
担任だと解った
担任教師は勿論解雇
警察に連れて行かれた
ソレは俺が中学生に成って直ぐの出来事だったが
俺には・たかが100万??
だが普通その時の年齢を考えれば・・・答えは明らかだ!!
たかが100万と考える俺の常識は
クラスの誰にも理解できない
言葉だったらしい・・・・
ソレ程までに
俺はお坊っちゃんだったと自覚した
だから俺は私立の学校を止め
普通の中学に転校した
オヤジも母親も勿論兄達にも反対されたが
「普通の世界が見たい!!」
そう言った俺の言葉を1番に理解してくれたのは
やはり兄貴達だった
兄貴達の説得も有り
オヤジと母親は
渋々理解せざる終えなく成った
俺自身本当に何も知らず
守られ育てられた事には感謝している
だか知らなすぎる事に
自分の無知さが腹立たしく思え
本当にバカだと理解した
だから誰も俺の家庭の事情を知らない学校へ転校した
・・・・衝撃だった
本当にバカだと気付いた!?!
その後3年間俺的には世間の常識を少しだが理解できた事は
良かったとも思った
だが相変わらず朝は弱く学校への通学は苦手だった
だから誰にも見つからない様に
少し離れた場所へ
車で送ってもらったりと楽をしていた
しかも普通の学校の授業レベルはかなり低く授業はつまらなくなりサボり癖が付いた
その頃から天気の良い日は
屋上か図書室で寝てた
ソレに気付いた同年代や上級生が何かと俺に絡んできたが
全て低脳な嫌がらせ
理解していながら時にはケンカにも付き合った
だが初めの頃は
ケンカを売られる理由さえ
・・・・・知らなかった
益々俺は自分のバカな頭に
腹立たしく成った
だから学校をサボリ
制服で街をブラブラ
ソレさえも俺には
社会勉強のひとつに成った
昼間制服でブラブラしてるだけで警察に歩道された
その度に俺は保護者として
兄貴に連絡して迎えに来てもらったりしていた
兄貴達は相変わらず俺を甘やかす
でも何故か兄貴達とそういう時間を過ごす事さえ
俺には楽しいモノに思えた
でもそんな時間も段々減っていった
兄貴達は医者に成る為に学校や大学院へ行く
忙しい毎日の為に俺との時間が減っていった
兄貴達は俺が何をしても
俺の為に時間を割いてくれているのが解るから
俺はできる限り
兄貴達に迷惑をかけるのを
止める努力をしたが
結局何か有れば兄貴達に迷惑をかけてきた
何度か兄貴達に「ゴメン!」
ッと言ったが兄貴達はいつも笑って俺に言う
「私達は彰のお蔭で退屈せずに済む、だがケガだけは気を付けろ、母さんが心配して父に話せば、彰はまた転校させられるかもな(笑)」
兄貴達の優しさの中で
俺は約17年の時間を生きてきた
そして昨年俺は自分の頭の中に爆弾が有るのを知った!
そんな中で望美に出会った
まだまだ俺には解らない世界が存在している事を知り
衝撃を受けた
未成年同士の集団リンチ殺人
テレビニュースの世界が
突然目の前に出て来た
望美に出会わなかったら
全てテレビの中の出来事だと
気に止める事さえなかったはずだ
だが出会ってしまった
テレビドラマやニュースでは無く
現実世界の出来事だと・・・
知ってしまった・・・
それにしても今の俺の状況は?
やはり解(ゲ)せない
俺は・卑怯者!だから・・・・
ーーーーーーーーーー
・・・・夜7時前・・・・・
夕食は望美と電話しながら自室で会えない分
毎日変わらず何度も望美と電話繋げる
料金を考えワンコールで
俺からかけ直す
学校の休憩時間も電話が鳴る
お陰で今何時か確かめなくても解る
そろそろ兄貴達が帰って来る
話しが有る昨夜言われた・・・
やはり望美の事・・・・・?!
俺が一瞬考え事をしていたのが望美に気付かれ
望美『アキラ!、どうかした?、上の空だよ!!』
怒られた!!
「あッ、ゴメン、兄貴達が帰ってきたらしい、昨夜話したろ、話しが有るって言われたから・・・」
望美『あッ!ゴメンそうだっね、じゃあまた後でね!!』
「解った話し終わったら電話するから・・・・・・」
望美にそう話し電話をきった
ツーツーツーツーーーー
俺はなぜかスマホを握りしめたまま今日が最後かも・・・・
たとえそうなっても文句を言える立場ではない・・・・
言葉がでないただ悔しくて!!
でも今の状態で俺の私欲のために望美を縛り付ける事は
思考が止まる・その先の言葉を消す卑怯者・・・・・だッ!
部屋の電話が鳴った
兄貴達の呼びだしだ
・・・まだ覚悟が・できない!
兄貴達に呼ばれリビングへ
そこには兄貴達と・・・?!
望美のお父さん??!
どういう事・・・理解不能?!
成る程・望美との別れ・を意味する・ッて事・だよな・・・
・・・・・当然だよな・・・
家政婦がお茶を運んで来た
兄貴達は俺の顔見て
座りなさいと手で促(うなが)した
俺は長男の横に向かいながら
「今晩は、お久しぶりです、〇〇様(望美の父)」
一礼をしてから兄の横に座った
望美の父
『今晩はアキラ君、いつも望美がお世話になりっぱなしで申し訳ないね』
「あ、いいえ、望美さんとの会話が楽しくて、あッ・・・・」
望父『毎晩、望美が寝静まるまでスマホを持ったまま眠ってると、妻から聞いてるよ(笑)』
「あッ!それはですね、僕が・・・・・」
長男『〇〇様、アキラ、挨拶はその辺で』
「ごめんなさい兄さん」
兄貴達も望美のお父さんも少し笑ってる
これで終わりなんだろ!?
だったら・・・なぜ笑顔がでる
大人同士の会話は色々有るんだろうけど
俺は凄く複雑な気分だ?!
長男『アキラ』
「はい」
長男『アキラの病気の事なんだけど』
「解ってます、僕がどれ程酷い事を、望美さんにしているか、病気の事隠していた・・・、そんなつもりは無いけど、結果そうなってしまった事、反省しています、でも・・・これだけは信じて下さい、僕は本気で望美さんが・大切で大好きだと言う気持ちは本当の事です、だから望美さんのお父さんに、何を言われても・・・受け入れる・・覚悟は、ごめんなさい・・・本当にごめんなさい・・・」
[アキラは自分の中で望美との毎日を思い出し声がだせなくなった!!]
望父『アキラ君、私達家族は君の病気の事、お兄さんが我が家へ来て、全て説明してくれたから知ってるんだよ、その時アキラ君の身体の事を知った望美は泣きながら、自分の気持ちは自分の物だよ、それがダメだと言うなら、私は何も考えない人形になる!!、そう言われてね、確かに望美の気持ちは望美の物で誰にもその気持ちを左右できない、私達家族は望美に叱られたんだ、だからアキラ君がどの様な状態だとしても、望美はアキラ君が目の前にいる今を大切にしたいと決めたらしくて、妻も息子も勿論私も、君と望美の事は君達二人で答えを出してくれると信じる事にした、アキラ君が私に聞きたかった事は全て話したつもりだが、どうかな』
「あッ!・はい、ありがとうございます!」
彰は少し涙目でそう答える事しか出来なかった
長男『アキラ、ごめん、言い方が悪かったね、私がはっきり話さなかったから、余計な心配をさせてしまったようだね、今回の事は全て私の説明不足がもたらしたようだな、本当にごめん。』
次男『本当だよ、兄さん彰困らせてどう責任とるんだ!!』
長男『解ってるから、ソコまで攻めないで下さい、彰本当にゴメン』頭を下げた
アキラは首を横にフリながら
「僕の方が悪い、自分が倒れるまで病気の事忘れてた、だから・・・」
望父『その話しはもういいでしょ、そろそろ本題に・・・・』
兄『そうですね』
トントン💥リビングの扉が開き
家政婦『申し訳ございません、アキラ様の電話が鳴りっぱなしで・・・!!』
履歴を見た望美の父親は
望父『これは・・・アキラ君、申し訳ない。』
「あッ!、いいえ、大切な話しが有るって兄さんが言ってたから、終わったら電話するって言ったんだけど・・・・?」
望父『妻と息子には今夜お宅にうかがうと話してはいたんだが、どうやら望美にバレてしまったかな(落)』
「どうしましょうか!?」
望父『アキラ君スマホ言いかな?』
「はい、どうぞ・・・・・」
望美の父親が電話に出た
望父『はい、何かな!?』
望美『何かじゃ無い!!、アキラ!えェ~~~どうしてお父さんがアキラの電話にでるの、私に内緒って!、お父さん嫌い!!、許さないから!!』
望美のお父さんがそーッとアキラにスマホを渡した・・・・
「ふ~ん、そうなんだ、望美は俺が話しがた事、嘘つきって言うんだ!!」
望美『えッ!、だって・・・ごめんなさい凹、お父さん何の用事で・・・・・!?』
「まだ何も話してないよ、今からだから、お風呂入った?」
望美『まだ・です・・・』
「寝る前に電話するから、お風呂入ったら?」
望美『解ったそうする、絶対電話してよ!』
「後で必ず電話するから待っててくれるかな?」
望美は電話をきった
望美の父はアキラを見てすまないといった顔をした
「すいません、僕がスマホ部屋に・・・」
お互い少し気まずい
その流れてを変えたのは次男の言葉
次男『で兄さん、別荘の片付け大丈夫だったの?』
要件は簡単な事だった
ゴールデンウィーク終了した
5月の中ばに
家の別荘へ皆で行く
望美のお父さんがいるッて事は
望美の家族も一緒に
ただお互い忙しいのも有り
日にちを合わす為に
来てもらったって事らしい
家の両親も帰国するから全員集合だってさ?!
実は俺は知らなかったけど
望美に初めて会った時の弁護士は家の病院の顧問弁護士だった
世の中広い様で狭いと言うか
家のオヤジは望美のお父さんの後輩で知り合い?!
そこんとこが1番ビックリした
望美のお父さんから顧問弁護士を紹介されたらしい
結局全部繋がってた
俺は世の中の狭さをマジマジと知る事となった日だった
その後本当に全員で別荘へ行き
俺と望美は楽しくてにぎやかな一時を皆から少し離れて
ずっと一緒に過ごした
→→→→→→→→続く~~~
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