第10話
通りの端、民家まで逃げ延びたナタはシューラの足の手当てを始めた。
「これ以上はボクらにはどうしようもないよ、充分にやった」
茫然としていたシューラは、不意にニヤリと笑った。
「充分……?へへ、えへへ、そうか。充分か」
「そうだよ、だから――」
小柄な車長の体は、鼻先への拳の一発で吹き飛んだ。
「そりゃテメェが利く口か?」
ナタは混乱したまま、どろりとした鼻血を拭った。
怒りに火の着いた運転手は、足を引きずりながら彼女に迫った。
「今日何回“どうしよう”つった?ガキを轢いた時、一体何見てやがった?」
ナタの首を掴み、力任せに壁に叩きつけた。
「酒盛りだってテメェが整備士連中をバカにしやがるせいで!渋られたパーツを引き出すためだ!挙げ句に部下を見殺しとはな!」
「ごめんなさい、ごめんなさい……」
真っ赤になって泣きじゃくる彼女を床に放り出すと、1丁の
「囮になれ。装甲は破れなくても人間ならコイツで吹っ飛ばせる」
それだけ言うと、手榴弾を握りしめた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます