第8話

 静まり返った村の中へ、ゆっくりと歩みを進める。

 確かに砲手を失ったが、無線手は充分に代役を務めてくれた。

 さっさとあの装甲車の乗員たちを――。

 そう考えていると、車内に続けざまに衝撃が襲った。

 キューポラの覗き窓から車外を確認すると、ソ連兵が火炎瓶や手榴弾を手に駆け寄ってきた。発煙筒の煙に視界を遮られ、思わずため息をついた。

 彼女は舌打ちをして、マイクに囁きながら頭上の装置のトリガーを引いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る