第6話

 村の入口で、先程の装甲車の姿を捉えた。

 双眼鏡を手に廃村を見渡すと、中央に鐘楼が見えた。すべてを見渡せる場所である以上、どのみち“何か”いると見ていいだろう。

 今は風がない。

 ならば、村の手前、2つの材木の山から微かに雪煙が吹いているのは何だというのか。

 T-34は排気マフラーが着いており、動くたびに土煙や雪を吹き上げる。

 この戦車――“虎”ティーガーを邪魔立てするものは許さない。

 彼女はチョーカー型のマイクに手を触れ、ポツリと呟いた。

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