第4話 マーガリン入りのロールパン

 実は自分、米ではなくパンを主食として食べる割合が結構多い。……うっかりすると、一週間米を一切口にしていないということもあったりする。

 別に米よりもパンが好きというわけではなく、どちらも大好きだ。

 ただ……家で炊飯を全く行わない自分としては、どうしてもパンを食べる比率が多くなる、そういうことである。

 そんな、パンをよく食べる自分が結構好きなパンがあるのだ。

 いわゆる、『マーガリン入りのロールパン』である。

 バターロールの中にマーガリンが仕込まれたシンプルなものから、レーズンを含んだロールパンにマーガリンが入れられたもの、黒糖風味のロールパンにマーガリンが入ったもの……どれも好きだ。

 今でこそ、様々なメーカーがマーガリン入りのロールパン類を出しているが、最初にこれを考えた人は天才、いや、神だと思う。

 マーガリンが中に入ったパンの何よりも面白いところは、食べている内にいきなり変化する味だと考える。最初は普通に見たままのロールパンの味なのに、何口目かでいきなりマーガリンのコク、塩味、風味が顔を出すのだ。

 そのまま食べて、マーガリンの塊に行き当たるも良し。マーガリンの塊を齧った瞬間、パンとは違った食感が伝わり何となく楽しくなる。

 電子レンジで温めて、中のマーガリンを溶けさせるのもまた良し。溶けたマーガリンが周囲の生地に染み込んで、そこに濃厚なコクをもたらしてくれる。

 トースターで軽く炙って、ロールパンの表面をカリッとさせるのも味があるのだ。その香ばしさに溶けたマーガリンが絡むと至福である。

 マーガリンを中に入れただけで、ロールパンの食べ方、楽しみ方が広がる……このアイディアを天才的、神的と言わずして何と表現しようというのか?

 ……マーガリンの入っていないロールパンを買ってきて、それに切り込みを入れて、切り込みの中にマーガリンを挟んだら実質同じものが出来ないかとか、言ってはいけない……。

 本当に、完全にロールパンの中に入っていて、外側からはマーガリンの位置が解らないというのが肝なのである。

 多くの場合、イメージ画像ではロールパンの中心にマーガリンが仕込まれているように描かれているが……実際のところ、マーガリンがロールパンのど真ん中に入っていることなど滅多にない。下手をすると、パンの皮の部分をめくってみたらすぐそこにマーガリンが! ……ということだって珍しくないのである。

 マーガリンがロールパンのどの位置にあるのか……それを探すのもまた面白いのだ。

 ……少し、宝探しをしている気分になる。

 そんな、食べて美味しい、同時に楽しいマーガリン入りのロールパン。やはり自分は大好きなのである。

 同じように、このパンが大好きな人が居ると、少し嬉しい。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る