逆にいえば、刺さらない方が幸せなのかもしれない。
過食について検索していたら、この小説に辿り着いた。面白くて一気に全話読んだ。
主人公•城田が自分の分身かのように思えた。(もっとも、自分は城田のような高学歴エリートとは程遠いが) 他人を見下しつつ他人を羨み、女を叩きながら女を求める歪さに共感してしまう。現代を生きる弱者男性のリアルを抉り出している。
序盤は城田に感情移入しながら、中盤は無敵の人となっていく城田にドキドキワクワクしながら読み進めた。よく言えば自分に正直に、悪く言えば好き勝手に生きていく姿は爽快だった。
城田は、あくまできっかけがあったに過ぎず、もともとこういう性質を持った人間はたくさんいるのだろうと思わせてくれる。
ただ、爽快なだけでは終わらない。この小説が書かれたのは2020年であるにも関わらず、あの事件を彷彿とさせるラストに驚いた。実際の事件とはもちろん無関係であり、動機は異なるが、作者の先見の明を感じざるを得ない。
最高の作品だった。気になった方は是非読んでほしい。感想を語り合う相手が欲しい。