第8話 君と僕は
朝。
目覚めのいい朝。
どうか僕を縛らないで下さい。
日常のように。
当たり前のように。
縛らないで下さい。
僕は…人間だ。
自由に生きる人間。
青い空の下で生きている。
「こんなもんか。」
僕は授業で詩を書いている。
なかなかの出来栄えではなかろうか。
「できた!」
そういう彼女の声が聞こえ、詩を見てみる。
私をーーーーーーー
最初のところで見ているのがバレてしまった。
「何見てるのさ!」
やっぱり怒られた。
「あとでなら見せてあげても……」
?
「あ!君ってあの子だよね?」
「この写真の子!」
ああ…。早速…。
そうなのだ。彼が家に入るところを見られているのが問題。なのではなく、そこに写ってる僕が問題だったのだ。
「まぁ、はい。」
「やっぱりー!!すっごくイケメンだからずっと探してたんだ!」
「会えてよかったー!」
と、まぁこのように…。彼の方でも大変らしい。なので誤解を解いて欲しかったらしいんだけど…。
はぁ…。こういう人がいるから家以外ではマスクをしなければならなくなるんだ。
それに…僕は…
「ちょっと。」
え
「今、私が話してるんだけど。」
え?
「は?何あんた。何様のつもり?」
「たまたまマスク野郎がイケメンだったからって急に近寄ってんじゃないの?」
いや、それあんたらでしょ。
「いや、私ずっとこの人と仲良いから。」
え、女神と仲がいい?
めっちゃ嬉しいんだけど。
正直いって何も言うつもりなかったんだけど…
「あのさ、君たち恥ずかしくないの?」
「え?」
「君たちみたいなのがいるから、マスクしてたのにさ。」
「え?いや」
「とりあえず、僕の大事な友達にとやかく言わないでくれる?猿みたいだよ?」
「っ!なにこいつ!顔だけじゃん!」
いや、顔で決めつけたのどっちだよ。
「…がと。」
ん?
「ありがとう…。」
え、可愛い。
「いや、別にいいよ。事実言っただけだし。」
「そっか…。」
可愛いなぁ…。
「さよーなら。」
やっと学校終わった…。
女子のみんな、スカウトマンかよ…。
「ねぇねぇ。またね。」
女神だ。
「うん。またね。」
僕も丸くなったんだなぁ…。
はぁぁぁぁぁ…………。
やっと家に着いた…。
「母さん。なんで僕をこの顔で産んだのさ。」
仕方ないじゃないって言ってるけど、全然仕方なく無いんだよなぁ…。
はぁ…。日記書くか。
「女子はやっぱり猿だ。けど、彼女だけは女神だった。やっぱり世の中は顔なのか。」
こんなもんでいいだろう…。
明日も大変そうだから早く寝よう。
そして、
僕が彼女を守るんだ。
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