第7話 君はいったい
眠れなかった。
初めてかもしれない。
「頭痛い……」
そりゃそうだ。
「母さん…これなんだろう…」
母さんは多分分かってる。
けど、何も言わずに微笑むばかり。
「母さん。教えてよ。」
この気持ちを。
「早く行かないと遅刻する…!」
時計を見てそそくさと家を出て、珍しく走った。
僕は走るのが嫌いだけど、なんだか今日は走りたい気分だった。
「あっ!」
あ。
「おはよ!遅刻?」
「うん。ちょっと考え事してたら遅くなって…」
「ふーん……。あ、こっちこっち。」
「え?」
「こっちから入った方が早い。」
「ありがとう!」
昨日のことなんて忘れたみたいな顔してる彼女にちょっと腹を立てたものの、やっぱりあの笑顔には逆らえない。
それに
あれは僕の考えすぎだ。
そう思う。
いや、そう思っておこう。
「間に合ったぁー…」
2人して息を荒らげながら教室に入る。
「あっ…」
「あの人って…」
なんだか教室がザワついている。
「あれ、なにこれ。」
「え?」
そこには僕の家に上がっている彼の姿が写っている写真があった。
「これ。誰?」
「あー僕の唯一の男友達。だけど、なんでこいつが…」
「ちょっときて」
「え」
彼女が僕の腕を引っ張る。
なんだ。急に。
痛いし。
「ねぇ」
「なにさ」
「あの男の人って…」
……?
キーンコーンカーンコーン…。
「えっと…。なに?」
チャイムが鳴った。急がないと。
「いや…何も無い…。明日。話す。」
…?
「何がどうなってるんだ…?」
僕はクラスメイト。そして彼女からもなんとも言えない目で見られ続け、そのまま帰宅した。
「なんだったんだ…。」
そう思っていると彼から連絡が入っていた。
「なぁ。今日会えるか?」
今から!?
「今21時だぞ…」
彼は何を考えているんだろう…。
「さすがに無理だ。明日なら。」
「わかった。」
なんなんだ…。みんなどうして僕のことをあんな目で…。
日記になんて書こうか…。
んー……。あ。
「今日はクラスメイトが変な日だった。そして、彼女も、彼も。」
こういう時は端的でいいんだ。
よし。
かけたし寝ようか。
アラームをセットして、毛布をかけ、気がかりな事が多かった一日を終了した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます