第2章
第11話 九賀 琴音
色々と調べてみたはいいが、全てを一気に網羅していくのは厳しいだろう。
一気に手を出そうとすればろくな結果にならない。
まずはミラーリングから実践していこう。
ポッサードの法則やダブルバインドは、正直に言って上級者向けというか、既にある程度女子との関係が成り立っている場合に成り立つものだと思うのだ。
考えてみよう。
普段あまり話さない男子がいきなり寄ってきて
「ねぇ、今度の土曜か日曜カフェ行こう」なんて誘ってきたら。
普通に考えて怖いだろう。
特にポッサードの法則なんて使いづらいなんてものではない。
電車で男性が女性に触れてしまえば悪気が無かろうが痴漢と叫ばれてしまうこのご時世。
電車で知らない男が体を近づけてきて良い気分になる女性はいるのか?
答えは簡単。
「イケメンに限る」という話だ。
僕は自分をイケメンだとは思っていない。つまりすぐには使えない。
ここまで色々と頭の中で考えてしまうのも陰キャ特有かもしれない。
さて現実逃避はここまでだ。
ん?お遊びはおしまいだ、の方が良いかな。
いや、痛いだけか。
「申し訳ありませんでした!!」
目の前には土下座する女の子。
某いとこである。
どうしよっかこの状況。
よし。
おもむろに立ち上がり、ゆっくりと歩いて行く。
羽織の懐から扇子を取り出し。
指ではじいてパッと広げ顔を隠し。
「苦しゅうない、
「あの、もう近いです」
ふざけちゃった。
【閑話休題】
落ち着けたところでもう一度目の前の子を見る。
九賀琴音。
中等部三年であり、現中等部公家会会長。
あの九賀の娘である。
髪はウルフカット、といってもあまりボサボサではないが。
男子諸君待望の気になる体形はスレンダー。
いや、まぁ女子中学生に何を期待しているんだという話ですがね。
「お茶でも飲みながら話そうか」
「はい」
お茶を注いでいると、視線を感じる
もぉ、そんなに僕の顔が気に入ったのかい?キリッ
「どうした」
「い、いえ。だいぶ雰囲気がお変わりになられたようで驚きました」
「あー。というか、うん。まずその堅苦しい口調はやめて良いぞ
琴音は僕の中身まで知ってるだろ」
「はい。うん。見た目よりだいぶふざけた中身だってことは」
「褒めるなよ照れるだろ」
「褒めてないから」
幼い頃から一緒に育ったこともあり、お互いにだいぶ猫をかぶらずに話している。
率直に話せる相手がいるのは気楽だ。
「で、どうしたの?急に」
「この髪型?」
「そう」
ふっ。何をわかりきったことを。
「イメチェェン」
「あ?」
「申し訳ありませんでした」
即土下座。
いいよね、土下座。今日も畳の匂いは素晴らしい。
「なに、好きな子でも出来た?」
「いや、その。好きって言うか、惚れさせたい?」
「……え?」
一瞬で場が凍り付く。
なんでしょう。そんなに不味いこと言ったかしら。
「ふ、ふぅん。そう。同級生?」
「あぁ、同じクラスのやつだ」
「そっかー。うん…そっかぁー」
なんか繰り返しているのが怖い。
「私にも今度紹介してよその子」
「ん?何をする気だ」
「いや、雅人がそんな気になるなんてどんな人なのか気になっちゃって。笑ってあげるから」
「笑わないなら許す」
「なら鼻で笑うから」
「悪化してる!?」
このあと気がついたら本当に紹介することになっていました。
おかしいな。笑いながら回避しようとしたはずなのに丸め込まれてる。
女子、いや九賀家怖い。
美少女に心を落とされたので落とし返す 【600pv越え!?(゜д゜)】~名家の子女が多い学園で繰り広げられるラブコメ~ 三毛猫@湿ったチワワ @nosufy
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