吉屋信子の戦前長編小説について(7)昭和5年から支那事変までの作品(5)~女人哀楽
今だったらやばい系の内容だよねー。
ちょうどポリコレの嵐が巻き起こってるしタイムリーか。
この話が掲載されたのは「婦女界」。ただし何月から何月まで掲載されたかは不明。
発行部数が二大誌ほどではないので簡単に手に取れないという問題が。
一応当時調べに調べたんですが、見つからなかったんですよね……
読者は「主婦之友」より少し若い層を狙っています。んでもって、「婦人倶楽部」よりは全体的に軽い。
んでまず人物相関。
https://plaza.rakuten.co.jp/edogawab/diary/201806070000/
ヒロインは絹子さん。
当初はインテリ女学生+アルファ、という感じです。
ここで彼女が立場の弱さから結婚する羽目になったのが、廣太郎。彼は金持ちの家の一人息子だけど、「頭が弱い」。
これは戦後に本当に知能が弱い相手と結婚した話の「安宅家の人々」にもつながるとこがあるんだけど、麻雀ができる(ただ勝つ頭はない)程度、というのはぎりぎりの線かなあ。
以下ざっくり。
嫁姑問題と夫の資質がどうよ、という問題が重なって、読者には好評だったんではないかと。
ヒロイン絹子さんは、途中で初恋の人との再婚……という方向に気持ちもぐらついたんですな。
結局は自分一人を頼りにしてくる廣太郎を選ぶという。
ただしこの話の場合は、ヒロイン絹子さんがまず目白の女子大まで行っていた、という意味がさほどに感じられないんだよな。
麟之介もまだ「60~70年代少女マンガに出てくる男子」のように実在感ない「いい男」だし。
その意味では、すがってきて自分の自由になる男のほうを彼女はとったのか、という見方もできるんですがね。
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