二人きりの物語
私はよく二人きりの物語を書きます。
それも「ふたりぼっち」の物語を書く傾向が強いです。それが自分の中で最も本物に近い感触がするからなのだと思います。
人っていうのは簡単に変わるものではないし、変わったとしても簡単に認めることはできないと思っています。
似たような境遇の人と出会ったり、居心地のいい関係を築いた程度では、人は根本のところから変わったりしないし、また変わるべきではないんじゃないかという疑念があるのです。
だからこそ、二人には決してなれない「ふたりぼっち」の関係性に共感を抱くんだと思います。
要するに、自分の物語の主人公に、ホイホイと孤独を否定してほしくないんだと思います。
人間っていうのはどうしようもなく一人ぼっちで、救いようがないくらい分かり合えなくて、何にも期待できないし信用できない。
だからこそ、自らに降りかかった人間関係を大切にしてほしいし、戸惑ってほしいし、直視できないでいてほしいと思うのです。それだけ大切なものであるということを忘れずにいてほしいのです。少なくとも、自分が書く恋愛小説(もしくはラブコメ)の主人公には。
一般的には当たり前の関係でも、その二人にとってはかけがえのない言葉であってほしいと思います。
「ふたりぼっち」の関係は、そこをテーマにするなら最適なんじゃないかと思っています。
要するにできるだけお互い拗らせててほしいってことだ!!!!!
なんでしょうね、人は一緒にいるのに絶対に「二人」にはなれない関係があるのだと信仰していて、その関係、その距離感は尊いもののように思えてしまう。
沈黙を共有できるほど仲がいいとはよく言ったものですが、「互いに互いの存在に感謝しているけど、一番大切なものにはできない」という……ジレンマがね……いいよね……。
臆病で、傷つくことが怖いから、最高を知ることが恐ろしいから、手の届かない距離を心地よく思う。そういう関係にしかなれない、でも一歩踏み出したい、でも……同じところをグルグル廻って馬鹿なハムスターみたいに、そんな愚かすら愛おしい、だって人を想う心は愛なのだから。
もちろん全部自分の感情の話なので、他人にそんなことは強要しませんし変わること自体はとっても喜ばしいことだと思っています。少なくとも、自分がそういう人間になれなかったというだけで。
世の中が面白くなったんじゃない、あなたが面白い人になれたのよ!
散々くだを巻きましたが、「もうお前しかいねぇ!!!!」みたいな「二人きり」の物語もやっぱり好きだったりします。なんやねん。極論オタクやないか。
次の章では「恋愛小説(もしくはラブコメ)を書くモチベーション」について語ります。
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